最近、ボクの庭ではノラネコたちが夜な夜な大騒ぎをする。 ボスの話によると、ノラネコたちは嫁さんをもらうために縄張り 争奪戦をしているらしい。
ボクの庭には納屋というものがあって、そこにはネコが暖かく眠 るのにちょうど良い藁やもみがらがいっぱい置いてある。 毎朝ボスが庭の鶏たちにエサをやろうとして納屋の扉を開けると、 中で寝ていたノラネコが驚いてバタバタ音を立てて逃げていくこ とが多いらしい。 ボクの庭の納屋はノラネコたちが住んでみたいステキな場所とし てノラネコ界ではかなり人気が高いらしいのだ。
きっとオスネコは、ボクの納屋を陣取ってメスネコを誘い、 「見てごらん、ボクの部屋はなかなかだろう?」などと自慢して みせているに違いない。
今日も昼間、下見に来たらしいクロネコがボクの方をじっと見て いた。 ネコは「あの犬さえいなければ最高の場所なのに」と思っている ような目をしていた。
庭の納屋はボクの縄張りなのだが、寒そうなネコたちのために ボクは我慢して貸してやっているのだ。 ボクはいわゆる大家さんみたいなものなのだから、ボクを睨みつ けるのではなく、きちんと挨拶をしていってほしいものである。

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