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ボクのお気に入りの草はとうとう穂が出てガサガサの草むらに なってしまった。 意地を張って草むらの中で過ごすとガサガサのゴワゴワで何と も言えない感触なのだが、毎日そうしているうちに、背が高く なった草むらの中に埋まって過ごすのも悪くないと思うように なってきた。
最近、ボスとアキコはこの草むらのことを「ゲンゾーの巣」と 呼んでいる。 昼間はここで昼寝をし、夕飯を食べた後またボクはここに来て 秋風に吹かれながら夜空を楽しんでいるのである。
涼しい風が吹き始める夏の終わりに巣の中に寝ころんで夜空を 見上げるのは本当に気持ちがいい。 もう少し涼しくなってきたら、もっと夜空の星もきれいに見え ることだろう。 アマガキの実が色づいて、星空が輝く秋頃まで、ボクの巣が枯 れずに生えていてくれるといいと思う。

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