ボクの親は近くの材木屋に住んでいるらしいが、アキコの親はクルマ というやつに乗って15分くらいで着くところに住んでいる。 ジッカと呼ばれている場所だ。
ボクはクルマは嫌いだが、ときどき無理矢理クルマに乗せられてその ジッカへ遊びに行く。遊びに行くと言っても、別に何をして遊ぶわけ でもない。 ボクは最初、追いかけっこでもして遊んでくれるのかと期待して行っ たのだが、庭で牛乳をもらっただけで、特に遊んでくれなかった。 でも、ここの「パパ」と呼ばれている男はボクをとてもかわいがって くれるので、「パパ」という男は好きである。
実は、このジッカには猫が住んでいる。それも家の中にである。 ボクの庭をうろうろしている野良猫とは比べものにならないくらい、 大きくて太っている。生意気にもボクより5才も年上らしい。 年上のくせに、アキコに甘えたりしている。アキコも大きなその猫を なでたりしている。
ジッカに遊びに行った後、ボクはとても不機嫌だ。
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