Blue tears...小雪

 

 

美容院。 - 2004年11月06日(土)

美容院へ行来った。
行こう行こう、行かなきゃ行かなきゃって思いつつ月日は流れ…
約4ヶ月放置してた髪は当然傷みと醜い色に変わってしまっていた。

「今日こそは行く!」
起きたのは当然昼過ぎだったけどいつになく気合十分な私。
化粧のノリも良く着て行く服もすんなり決まりテンションは珍しく良。

前々から一度行きたいと思っていた新しい美容院。

ドアを開けるとアロマのいい香りに包まれた。
店内は暖かく私は着ていたカーディガンを脱ぎはじめるとすぐに店員が気付き背後に回って受け取ってくれ
着ていたそれをクロークへ入れてくれた。当たり前の事なんだけど…
そんな受付のスマートな態度にお店の雰囲気の良さが感じられて嬉しかった。

オーダーは「カット・カラー」
おまかせ指名でやって来たスタイリストは男性だった。またまた嬉しく思う。
「ヨッシャ!」心で軽くガッツポーズ。
彼は慣れなれしくもなくかといって気取ってる風でもなくいい感じ。
私の優柔なオーダーにも焦らせるでもなく強引でもなく雑誌を持ってきて親身に相談に乗ってくれた。
ぶっちゃけ、こだわりとかなく「楽」ならよかったの。ごめんね。

彼が別のスタッフに細かく指示を出しカラーから先に進んだ。
モード系の雑誌が前に置かれ勧められて手に取りぱらぱらとめくる私。
久しぶりに穏やかな時間が流れた。

1時間が過ぎた頃だろうか…
店内のガラス越しに外の景色が暗くなってきたのが見えテンションが落ちてくるのを感じた…
うーー。なんか疲れてきた…ダルイ…眠い…
事実、目の前の鏡に写る顔にそう出ていたはず。見るのが怖くて見れなかったけど。
落ち始めるともうここからは早い私の憂鬱。来た時の余裕やおすまし顔などぶっ飛ぶ。
自分の中の居心地悪さで落ち着かない気持ちが膨らみ出す。
この時点でまだカラーさえ終わってない。がーーん。時間が無い、時間が。
丁寧なのはもう分かりました!お店も気に入りました!
だからお願い早くカットしちゃってぇーー!!心で雄たけぶ。
一番の憂鬱はともかく顔だ。
化粧が沈んでる…。恐れてた油もテッカーきてる。光ってるねノッテルね。
歌ってる場合ではない非常事態。美容院。
座ったら最後、終わるまで化粧は直せない。逃げ場無し。
直せない上にクリームを顔周りに塗られたりシャンプーのお流しなどなど、気合のメイクもヨレヨレだ。
若い頃ならまだいい。もういい歳に事実上よれてちゃってるマイフェイス。
化け直す事も許されず明るい鏡の前に座ってなきゃならないのは残酷すぎだろ。
オイリーな自分が悲しくて泣きたくなる。
カラーを置く時間にハーブティのサービスがあった。
だけど私にはお茶よりバッグの中の「油取り紙」が欲しかったぜ。ベイベー
スマートな美容院。テカよれの自分。一刻も早く帰りたくなる。
そんな私に唯一救いだったのは担当の彼がとっても丁寧かつ穏やかだった事。
見習いじゃなくシャンプーも自らしてくれ、カットも黙々とシザーをなめらかな手つきで走らせる。
下らない世間話やスタイリングテクの伝授の押し売りもなくさくさくといい仕事をしてくれた。
その動きを見てたら少し気持ちは落ち着いた。顔の油が落ち着く事は無かったが…
そしてそしてブローも終わって会計。ふーーっ、長かったじぇ。
しめて14,000円也。まー、安いとは言えないけど…
何よりやっとこの場からバイバイできる安堵感から自然と笑みがこぼれた。
カットの間中怖い顔しててごめんね。カットが気に入らなかったんじゃないよ。
浮きまくるアブリーに逆ギレしてただけなの。下らん女心をわかってね。
すべてが終了して担当の彼がお見送りに玄関の外、階段の下までエスコート。
照れくさかったけど最後まで付き合ってくれるその接客の優しさがとても新鮮で感動しちゃった。
この階段がもっと長ければと思ったぐらいね。
そして…

「実は僕こないだコンテストで優勝できたんです」
君はさりげなく言ったね。

うんうん。カラーリングしてる時に他のスタッフから聞いてたよ。
すごくメジャーで厳しい大会だったのに、若くして優勝してみんなを驚かせたって。
きっと、いっぱいいっぱい練習して努力したんだろうね。
話せる場面は一杯あったはずなのに…
こんな普通の階段で照れくさそうに話してくれた君のはにかんだ笑顔はとっても謙虚で。
その謙虚さが何より君を一層光って見せてくれたよ。
おめでとう。本当によかったね。
きっとトップな立場になっていくでしょう。会ったのは初めてだけどでも今日の君が私は一番好き。
だからずっと驕らずそのままの君でいてねと心でエールを送った。
そうして私の美容院の一日は終わった。


余談。
彼との気持ち良い別れの余韻を楽しむ間もなく。
私はダッシュで隣のマックのトイレへ駆け込んだ。
そう。ギッシュで「終わってる顔」を思う存分拭き取る為。放置されてた油が取れる取れる。
多分20枚以上軽く使ったはず。いちいち数えちゃいない。

私は脂性である。間違いない。

そして…日記なのに文章長すぎだろ。作文じゃないっつーの。





小雪。



















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