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2008年11月05日(水) 真打登場〜仏頂面の石地蔵とビスクドールの回〜

魍魎の匣(第5話)千里眼の事
この作品は、どんどん難しくなってきました。
セリフが多い、情報がむちゃくちゃ詰まっている。
レンガのような厚さの原作の、緻密に配された意味深な文章と設定、一見無意味な知識情報の羅列にみえて、すべてが伏線という京極堂の薀蓄、憑き物落としによる、結末へ向かってのすべての謎の解決と収束、人も事件もすべてが因果応報のように絡み合い関係しあう曼荼羅のような世界図。
そんな小説をアニメで再現しているのだから、この状態はやむなしなのかな?
設定の一部をばっさり捨て去るという手もあるのに、それもやらないで、できるだけ原作の設定を盛り込み、世界を独特の手法で緻密に、それこそみっしりと再現していると思いました。

「この世にね、不思議なことなど何一つないのだよ、関口君」
まさに京極堂のイメージを体現した平田さんのこの台詞回しには鳥肌が立ちました。
流石だなぁ・・・この雰囲気、どこかで聴いたような・・・何だったかなぁ・・・
平田さんの演技は、まさに劇団昴の舞台を見ているようでした。
声の高さも、丁度いいですね。久々に聴く、平田さんが無理して出していない、とても良い声です。

そうそう、京極堂の出番の前に薔薇十字探偵社です(笑)。
4話の最後でこの探偵社へやってきたのは、増岡という名の弁護士。この5話のBパートでは、いきなり探偵社での会話からスタートします。
気取った眼鏡、なのになんとなくただの慇懃無礼な感じではなく、どちらかと言うと生真面目な朴念仁なのかなぁという雰囲気の三木さんの演技、増岡は、だから失踪してしまった加菜子を探してくれと言っているだろうと切れちゃったり、結構人間臭い人。
そんな彼の前に座るのは、人の話をひとつもまともに聴かない榎木津礼二郎。
まったくもって、予想通りの、アンニュイな貴族声です(爆)。
穏やかで気だるい雰囲気の中にも、一段高みに居るような品のある声としゃべりくち。森川さん、予想以上にキャラを掴んでいて嬉しい悲鳴。なんだこの切れ者美形はぁ・・・
和寅が、原作では青年なのにアニメでは少年に設定改変されていて、ちょっと一瞬きょとんとしてしまったが、坂本千夏さんというベテランさんで上手い。我侭で奇人変人な探偵と利発そうな少年助手、でこぼこコンビになりそうです。
原作どおりに、増岡は自分の都合と事情を捲くし立てる、それとはお構いなしに、増岡の記憶を眺めては思いついたことを口走る美形探偵、二人の流れるようなセリフの間合いとは裏腹の内容のかみ合わなさが、原作以上に面白い。
細かいなぁというか、作画で恐ろしくマニアックなことをやっているなと感心したのは、榎木津さんが左目がぜんぜん見えていないとう原作設定を匂わせる作画、加菜子の写真を一生懸命に見ているとき、写真の持つ位置が体中央よりやや右よりになっていること、まさかなぁ・・・あと、作画を本当がんばっているなぁと思ったのは、増岡の言葉を完璧に聞き流して彼の記憶を覗いている榎さんの、原作の描写で言うところの、半眼な表情の眉目秀麗なこと。ひさびさにアニメで胸躍る作品です。

この作品、登場する女性陣も美形ばかり。あんな仏頂面で書痴(読書バカとか本の虫という意味ですね)の石地蔵と呼ばれる男に、あんなに美人で出来た嫁が居るというのは、もはや男のロマンに違いない(笑)
そうそう、あのうつ病の猿らしい(アニメではずいぶん美化されてしまった)関口君にも、麗しくて賢く優しいお嫁さんが居るという、世の理不尽さを嘆く独男の羨望を一身に引き受けている。
これこそが、まさにこの世に不思議なことがある証拠では・・・

榎さん万歳


まいける2004 |簡易メールシルバーナの船室(コラム)

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