声優さんと映画とアニメと
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2007年04月08日(日) 吹き替えの極意

吹き替え50年史
ヒストリーチャンネルでオンエアーされた貴重な日本の吹き替えの歴史を振りかえる記念番組(2時間)を観ました。大平透さん、羽佐間道夫さん、池田昌子さん、朴ろ美さん、などがリレーでナレーションをしながらの日本吹き替えの歴史を振り返る番組でした。
TVで最初に外国TVドラマの吹き替えをしようという試みがなされたのは、TV局が日本の映画会社から作品のオンエアーを拒否されたことがきっかけ、安いアメリカのドラマを買って、わかりやすい日本語で吹き替えようと試みられたとのこと。
新劇か放送劇団(ラジオドラマの役者さん)が連れてこられて、当時から安いギャラと過酷な環境でのお仕事だった様子です。初期は生放送、役者さんも効果音も全部生で入れていたとのこと、きっとものすごいことになっていたのでしょうね・・・状況お察しします(当時はラジオドラマも全部生でしたよね・・・)
理由はフィルムとレコーダの回転速度が同期しないのが原因ということだった様子。
録音技術が開発され、収録が始まっても、作品の途中で中断編集する技術がなかったので、ロール全部をイッキに収録する必要があり、一人(たとえば新人が最後の最後に入れる一言台詞など)が失敗すれば、30分みんなでがんばった共同作業もおじゃんになってしまうこと、演技も効果もすべて一からやり直しだったとのこと、この話は、賢雄さんや、森川さんも昔話でそんな思い出を語っていたので、比較的最近(10数年ぐらい前まで)そうだったのではないでしょうか?
最近はデジタル機材ですから、後からでも有る程度はタイミングや音の高低からスピードまで合わせられるはずなので、役者さんたちの収録時の緊張感といのは、当時とはかなり違ったものになっていると思います。

歴代の有名な声優さんの紹介があって、当時の証言を今なお現役の、大平透さん、滝口順平さん(まぁ、地声までは、どこからどう聴いても千年公だし、途中下車しない人なので、もう笑うしか・・・爆)、納谷悟郎さん、野沢那智さん、小原乃梨子さん、森山周一郎さんなどなど大御所ばかり、ナレーションの方々も自分の思い出を語るという形式で、非常に興味深かったです。
また思い出話では、故山田康夫さん、故富山敬さんの凄さをみなさんが思い出しての語り。富山さんのヤマトの劇場版のシーン「俺達がやらなければならなかったのは、闘うことじゃない、愛し合うことだった・・・」の名場面も流れて、思わず目頭が熱く・・・(敬様はやっぱり私の記憶の中でも特別な人)。
そして現代まで紹介され、山寺さん朴さん水樹奈々さんが紹介されてました。
現在の声優サン達というのでは、声優アワードの授賞式のシーンが・・・森田君や柿崎君が写ってましたが、なぜか男性の現在活躍中の声優さんは結局山寺さん以外は名前も紹介されず。日俳連が製作に絡んでいたので、配慮があったのかな?それにしても、山寺さんのスーパーウルトラ天才ぶりは、百戦錬磨の野沢那智さんをして、山ちゃんとの共演だけは怖いと言わしめたほどです。さすが!古今東西、この方は本当に不世出の天才ですね。

2時間の内容なので、簡単には語りつくせない興味深い内容でしたが、改めて声優さんって凄いなぁと思い知らせてくれる内容でもありました。
そして先輩声優さんたちが築き上げてきた歴史と伝統というものが、時代や技術の進歩とともに、だんだん様変わりしていく一方で、声だけの真剣勝負で演技をすることでの、大切な基本精神は、今の時代になっても、なにも変わっていないのだなぁと、思いました。

ちょっと切なかったのは、私の子供の頃からの洋画の友でアイドルだったアランドロンとジュリアーノジェンマを吹き替えていた野沢さん、今尚現役で素敵ですし衰えをほとんど感じさせないのですが、90年代以降の吹き替えのナチュラルで自然な演技にくらべると、やはり台詞まわしにスタイルの古さを感じてしまいました。やりすぎ感がどうしても気になってしまって・・・ご自身の主催する声優学校での吹き替え練習シーンで実演する台詞回しに、昔ながらの吹き替え独特の大仰な抑揚に、ずいぶん昔の雰囲気なのを実感。今の吹き替えの役者さんの演技というのは、実際のスクリーンの中の人の演技にあわせた形で、かなり抑えた演技になっているんだなぁと改めて実感。映画作品そのものの役者の台詞回しが、そうなっているので、そうなるのが必然なのかなって思います。昔は舞台劇風、今はドキュメンタリー風とでも言うべきでしょうか?

ちょと那智さんの授業シーンでアドヴァイスしていた、場面の雰囲気を考えながら演技をしなさいという、アドヴァイスに、どきり。
そう、そのシーンがレストランの中なのか、街頭なのか・・・とか、自分の演じる役が置かれている状況、立ち位置(ベットで耳元で囁きあっているのか、風の強い外でわめきあっているのか、部屋の中でもちょっと距離を置いたところで話ているのか、立っているのか、座っているのか、上向いてるか、顔を向けているのか、どうなのか・・・ななどなど)をすべて理解した上で、声を出さねばならないという部分、役者さんの想像力とテクニックの最高峰が秘められているのだろうなと思いました。これはひどい出来の機内版を思い出して反面教師を実感した次第です。まるで、全員が並んで、耳元に向かって朗読しているような、そんな演技と演出だった”ディパーテッド”JAL版を思い出してしまって、あんなにへたくそでひどい例もあるんだぞ・・・と(笑)。
それに比べたら、ミュンヘンやミッション3など、森川さんが出ている作品をはじめとした一連の素晴らし作品は、みんなヘッドフォンで聴いても素晴らしい仕上がりです。
いかに、役者さんが、ただ口の動きにあわせて台詞をまくしたてる演技をしているのはないという事実を思い知るか、それプラス演出家や脚本家のセンスや経験や技量の重要性も実感します。
ディパーテッド、DVD版は機内版とキャストが違いそうなので、たぶんDVD版は見違えるような良いできになっているものと思われます。ナイトミュージアムは機内版も劇場版も同じで、素晴らしかったです。距離感も方向感も全体の雰囲気も、非常に良い出来だったと思います。

つくづく、吹き替えも総合芸術であり職人の世界なのだと・・・番組の中でも、野沢さんが、数年かけて作ってこられた映画作品を、1日で声を入れてしまうのだから、それは半端な作業はできない、有る意味日本語で命を吹き込むにあたっては、元の作品をさらに数倍面白いものにしてやるぞという意気込みが大切であると・・・そう、そうであるからこそ、吹き替え版には価値があるんだと思います。
現場の方々が、この気概で製作にあたっていらっしゃる作品は、きっと素晴らしい仕上がりになっているなぁと、そういう作品をなんらかの形で評価できればいいのにと思います。中には歴史に残る吹き替え作品というものも存在するはずなのですから。

そうそう、コジャックとコロンボのキャラの違いと声優さんのアプローチの違い(コジャックの森山周一郎さんはサバラスにあわせた演技を、コロンボの小池朝雄さんは自身の個性を出していたのとこと)同じ英語の台詞(私の妻が言うには・・・)でも日本語に翻訳するときの違い(コロンボでは、うちのカミサンが、になりますよね)が解説されていて、日本語の奥の深さも実感。

そう、あと、広川さん若山さん矢島さん久松さんあたりのお名前がぜんぜんかけらも出てこなかったのも、なんだかいろいろと大人の事情があるんでしょうね・・・少し寂しかったです。

とはいえ、森川さんが生きている世界が一部垣間見えた気がして、非常に興味深かったです。

戦国BASARA2
久しぶりにすこしだけやってみました。
伊達軍でのストーリィモードクリア、天下統一モードで近隣3カ国ほど滅ぼしたことろで、休日タイムアップ。
どこまでも政宗に付添う小十郎が、アニメーションモードで意外にもハンサムなのに気がつき、ちょっとどきどき。しかも、何ですか森川さん、サンプルヴォイスでは野太い声しか聴いてなかったので、単なるおじさん系の低音ボイスと思っていましたが、艶っぽい響きなせリフもあるんですね、驚きました。戦闘中の「前へでろ、前へ!」は迫力のあるヤクザ声ですが、政宗さまとの掛け合いでは、とても優しさを秘めた声音じゃないですか・・・これは参りました、ファンが激増している理由がいまやっと分かりました。ドラマCDよりもゲームの方の声と台詞に萌えるとは、予想しておりませんでした。降参です(笑)。

パスコレ表
ネット配信になった第1回目を聴きましたが、なんだか終わりのカウンタートークで少し遊んでいるぐらいで、あまり変化なし、一安心でした。カウンタートークでは、上に書いた、演技の距離感や状況による台詞の違いなど、まるで普段の自分の雰囲気を装いながらも森川さんが森川智之を演じているのが、凄いと思ってしまいました。だって、スラッシュ追いかけてましたよ、さすが吹き替え系では2枚目スーパースターの森川さんです、あの自然さが素晴らしい、まるで素に聞こえるから、というかどこからが演技でどこからが素かが分からないところが、凄いです。(ずっと思ってましたが、今回改めて実感)
しかし、今年に入って30本もワインを・・・あのSBのイベントの日に朝まで櫻井君と鳥海君ら後輩を部屋に入れて飲んでたって、兄キですねぇ・・・笑。だからサングラスをはずさなかったのですね(昼の部もしかして眼が腫れてた?笑)
森川さん、毎日飲んでもいいけど、日によっては量をセーブね(笑)。

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