胡桃の感想記
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2000年07月10日(月) |
◇カレン・ハーパー著「毒の庭 The poison garden」 |
「毒の庭 The poison garden」 カレン・ハーパー著 吉澤康子訳 (ハヤカワ文庫) 375P
舞台は16世紀英国。 今まで私が読んだミステリーとの最大の違いは、主人公が命を狙われているということ。事件に首を突っ込んで、命を狙われる主人公はいたけど、最初から ―その身分ゆえに―というのは初めて。 だから、主人公エリザベスの不安・悩み、そして孤独がとてもリアルに伝わってくる。しかも、たった4人(キャット、ジェンクス、ネッド、メグ)の従者 も、なんだか一癖も二癖も有りそうで・・・。みんな忠実なのだけど、怪しい 感じもしてくる。これは、エリザベスに感情移入しているせいね。
当時、医学と薬物学は密接な関係だった。(訳者あとがきより)
だから、薬草係メグは重要な役割(だと私は思っている)。彼女の言動には目が 離せない。エリザベスにそっくりなので、ネッド(彼は役者なので)に教わりながら、気品をつけていくのもポイント。過去が謎っていうのもいい。(つまり私はファンなのです)
エリザベス王女は高貴な方すぎて、庶民の私には理解できないところがあるからね。例えば、いつか指を鳴らすだけで人を動かせるようになりたいとか、秘密会議(王女+従者)では、皆平等よと言いつつネッドが口答えすると怒ったり(じゃあ、平等とか言うなよ・・・)。まぁ、生い立ちからいっても、王女というプライドが高いのかも。環境が良くなかったから、精神くらいはしっかり持っていないと耐えられなかったのだろう。ラストで、メアリー女王が亡くなり、女王になるので、彼女のプライドは高くて当然。と言うより必要不可欠なものなのでしょうね〜。
最新作『The Tidal Poole』(2000年)も早く読みた〜い。 エリザベス1世は、実在の人物。(もちろん、この作品はフィクションです、 念のため)映画化もされ、文庫本も出ているので、まずは『エリザベス』(新潮文庫)を読んでみようと思っている。
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