| 2013年08月27日(火) |
楽屋ハナシ 福山雅治×是枝裕和 |
朝日新聞デジタルで4回掲載された「楽屋ハナシ 福山雅治×是枝裕和」。
9月28日公開の「そして父になる」にまつわるさまざまなお話が繰り広げられ、面白かったです。
第1回目はカンヌで泣いたお話。
第2回目は、おふたりの出会いと、映画が作られたいきさつ。
まず最初にストーリーありきでましゃにお声がかかったわけではなく、
ましゃに初めて会った是枝監督が(しかも、ましゃの方から監督に「会いたい」と申し出たそうな)、
これまで福山さんがやったことのない役でどんなお話にしようか、と、企画を考え始めたとか。
第3回目ではさらに、ましゃが演じた父親・野々宮良多について。
その「福山さんがやったことのない役」というのが、「子どもを取り違えられた親」という、
たしかにやったことのない役である上に、非常に嫌味でイヤな男であると。
はっきり言って「よいところがひとつもない」のだそう。これについてのお話が楽しかったので、
第3回目からちょっと抜粋。
――「そして父になる」で福山さんが演じた野々宮良多は、エリート然とした相当イヤミな男です。
福山さんが演じるタイプの役ではないような(笑)。
是枝:取材に来た雑誌の記者にも聞かれましたよ。
「この役を依頼する時、福山さんから何か言われませんでしたか」って(笑)。
福山:実は良いヤツだった、的なところがないのか、と(笑)。
是枝:でも(福山さんからは何も)全然なかったんですよね。素晴らしいですよ、それはやっぱり。
「もっと俺をよく書け」と言う役者も少なくないわけで(笑)。
福山:役柄として良多をやりたいと思ったわけではなく、作品全体として「ぜひ参加したい」と。
で、完成した作品を見てから初めてですよ、「良多って、いいところないかも……」って気づいて(爆笑)。
これだな、西川美和監督(「ゆれる」「ディア・ドクター」「夢売るふたり」などの監督)が言ってたのは、と。
――西川監督は何と?
福山:西川さんが撮影現場に見学に来られたんですけど、
その時、西川さんが「この映画ってねえ、福山さん、あれですよね」と言うんです。
「えっ、何ですか」と聞くと、「これって是枝さんの男前に対する復讐(ふくしゅう)ですよ」って。
是枝:あいつ〜(笑)。
福山:「いや、いいところもあるんっすよ」みたいな感じで答えてたんだけど、
完成作を見てみたら、確かにない!(笑)。
だからこの役が嫌だ、という話ではないですよ。
良多という役柄は、この作品が持つテーマ、こういう設定だったという。
是枝:福山さんがすごいなと思ったのは、例えば、良多が仕事から帰ってきたら嫁さんが編み物しながら
電話をしているというシーンがあるんですけど、僕があのシーンを削ったことがあるんですよ。
福山:尾野真千子さんが演じる奥さんが少し壊れた雰囲気を出してたシーンですよね。
是枝:そしたら福山さんから「あれ、あった方がいいんじゃないですか」という意見が出たんですよ。
ちょうど僕も戻していたものだから、「あっ、あのシーン、戻しました」と話したんですね。
だから、全体をみているんですよ、福山さんは。
いろんな意味で「引き」と「寄り」、両方持っている役者さんですね。
自分しか見ていない役者もたくさんいるんですよ(笑)。
どんだけイヤな男なんでしょうね。
「よいところがひとつもない」って言い切ってますよ?
今は東京中央銀行(@半沢直樹)で相当酷い人たちを見てますから、たいていのイヤなやつには
驚かない気がするけれども。
最後の第4回では、「女性スタッフの意見を重視する」という点で意見が一致した監督とましゃ。
これも面白かったのでまた後日。
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