| 2012年10月04日(木) |
ふるあめりかに 袖はぬらさじ@赤坂ACTシアター |
4日昼の部を拝見してきました。
玉三郎といえば、品格があり、楚々として美しい、凛として美しい、天女のように神々しい、
そういうお姿というか、そういう役どころしか観てなかったので、
今回の「粋で、酒好きだが情けに厚く、ふとした佇まいや台詞に人生のおかしみや
はかなさ、孤独や悲哀をにじませる」(パンフより)芸者役は、
わたしにとっては、今までまったく見たことがない玉三郎。
でも、わたしが存じ上げなかっただけで、この作品は玉三郎主演の最高傑作のひとつだそうで、
本当にその通りのすばらしい作品。
何がすばらしいって、この粋な芸者のお園さんです。もうね、めっちゃ笑わせていただきました。
上質な笑いってこういうのを言うのだろうな、と。
お園さんは表情、身体のうごき、口調、声色、三味線を弾く姿、すべてが粋でカッコよくて、
うっとりさせられる美しさなのに、すべてが面白くてちょっと哀しくて、
とにかく魅力的なのです。
舞台は幕末の横浜の遊廓。花魁の亀遊(きゆう・壇れい)に異人からの身請け話がもちあがるが、
ほかに好きな男がいた亀遊は世を儚んで自害してしまう。(だから壇れいさんは前半だけで出番終了)
いつしか、亀遊は命をかけて異人を拒否した「攘夷女郎」というヒロインに祭り上げられ、
その評判を聞きつけた客が連日のようにおしかけ、亀遊の伝説を聞きたがるようになる。
吉原の頃から亀遊と顔なじみで、なにかと亀遊の世話をやいていた芸者お園が、
芸達者を見込まれて話し手の役を押し付けられる。最初は嘘も交える後ろめたさに
こわごわと話していたお園だが、たくみな話術でどんどん脚色され、話も大きくなり、そして・・・。
三味線もあたりまえのようにお上手なのですよ。
その上、今この瞬間から落語家の真打ちをつとめられそうなほどの話術。
「粋を極めた」という表現がありますが、玉三郎はまさしくそういう方だな、と。
とにかく玉三郎丈に目がくぎづけの3時間でした。
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