| 2012年03月08日(木) |
シネマ歌舞伎「海神別荘」 |

これと「天守物語」は2009年7月の歌舞伎座さよなら公演で拝見したのですが、
映像で細かいところまで観られるというのが本当に楽しみでした。
ちなみに「天守物語」は2月にやっていたのを見逃してすごく残念に思っていたところ、
再度上映されるようなので、次は必ず行きます。よかったー。
映画館で観られるとはいえ、千葉のわが家から一番近くの上映場所が銀座の東劇。
建設中の歌舞伎座の前を通り過ぎ、初めて東劇に入ってみました。
舞台の映像だけじゃなく、玉三郎の解説や演出している様子なども加えられていて、
実はいまだに泉鏡花作品をまったく読んだことがないわたしにはとても勉強になりました。
何から何まで本当に美しいです。
幻想的な海底の宮殿のセットや、ハープの音色はもちろん、
衣装も細部まで見えるとさらに素晴らしいし、玉三郎と海老蔵は、遠くから観たって完璧だが
映像で近くから観たって何一つアラのない完璧な美しさ。
見目麗しいだけでなく、セリフ、立ち居振る舞いすべてが。
ナマで拝見したときにはよくわからなかった日本語(わたしの理解力不足で)も、
演者の姿や表情を間近に見ながら聴くとすごくわかりやすくて、
「ああ、こういうことだったのか」と改めて理解した点もいっぱいありました。
玉三郎はやっぱりもう人間じゃないみたいだ、気高さ美しさが。
そしてまた思いましたよ、女たるものこの姿を手本にせにゃならんと。
玉三郎を観る度に思うのだ。本当に観る度にそう思うけど、劇場出るとすぐ忘れるんだこれが。
海老蔵の公子がまた、絵に描いたような美形の王。
全身のシルエットがバレリーナのぴったりタイツっぽくって、足元は超厚底ブーツ。
玉三郎も長身だから、あのくらいの厚底でないといい感じの身長差が出ないのでしょうな。
でもやったらめったら似合う。たっぷりの生地のマントを翻し、ゴージャスな剣を振りかざし、
海底の宮殿を守る者としての威厳と勇気にあふれ、人間への洞察も深い。
だけどところどころキュートでおちゃめ。笑えますの。
すごろく遊びのサイコロ振ってて飽きちゃったりとか、厚底でかろやかにスキップとか、
人間が生きる地上に関する勉強不足を恥じている様子とか。
玉三郎も海老蔵も、見た目も美しいですが言葉がそれ以上に美しい。語る声もいい。
公子と僧と博士、公子と侍女たち、公子と美女(玉三郎)の会話だけで
ほぼ展開してゆくのですが、うっとり聞き入ってしまう美しさです。
んー。やっぱり玉三郎は人間じゃないと思う。
そして海老蔵も、その恵まれた容姿や声や環境を、これからも絶対に無駄にしてほしくないと思う。
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