せらび c'est la vie |目次|昨日|翌日|
みぃ
色々の顛末、または日記をサボっていた言い訳を書く。 ここ暫くの間、ワタシは本来的業務の「締め切り」に追われて、昼も夜も無い暮らしをしている。 と言うのも、既に数ヶ月前にやり終えたと思っていた箇所を再び見直してみたら、ワタシにはその理論的根幹に関わる部分がどうにも本筋から外れているように思われて来たので、その理論再構築の為に更なる調べ物を開始する事にしてしまったからである。 やはりワタシの判断は正しかった、と後に色々の真実が判明する度に確信する。そして更に、ワタシが知りたかったのはやはり「これ」であり、以前のままで突き進めていたら、中途半端でさぞや面白味の無い出来栄えだったろうとも思う。 そうこうしながら、その昔大学で「卒業論文」というのを書いた折、調べ物を進め書き進めて行くにつれ、ワタシが本来言いたかった事、書きたかった事というのは「これ」なのだ、という辺りがはっきりと浮かび上がって来て感心したという事を思い出す。それは大いにワタシの探究心を掻き立て、未知の真実を発見していく「悦び」というものを体感するきっかけになったのだった。 しかしそのワタシの努力も空しく、とうとう「締め切り」はやって来た。 ワタシは結局その締め切りに間に合うように成果を示す事が出来ず、「偉いさん各位」に大怒られしながら、しかし何とか首にだけはしないでくれろと泣きを入れる。 また本来業務外の作業で思わぬ「どんでん返し」に見舞われたのも、作業が遅れた一因であると言い訳をする。 これについては、課外活動のようなものなので本当は良い訳には使いたくなかったけれども、しかし言わないでいてはまるでワタシ自身が怠慢な人間のように思われても困るので、止むを得ずと腹を括る。 数日間の交渉の末、締め切りは暫く延ばされる事になった。 暫し安堵しつつ、それでも理論的根幹部については間も無く「偉いさんその一」に示して意向を聞かねばならないので、引き続き作業に励む。 ワタシという人間はどうやら、「ここ一番」という時に限って風邪を引くらしい。 これには一応言い訳があって、試験前だとか何かの締め切りが迫っているだとかで「缶詰」状態になると、決まってワタシの食事事情が悪化する。食べたり食べなかったり、また暫く買い物に行かないでいるものだから冷蔵庫や食料庫の食べ物が残り少なくなって来る訳で、そうするとある一定のものばかりを食べるとか、インスタント物で食い繋ぐような状況になる。更に睡眠も一定しないので、抵抗力は必然的に落ちる訳である。 そういう訳で、今ワタシは数日前の「本来の締め切り」直前と同様、再び風邪を引いている。 今時は良くしたもので、薬を滲み込ませた薄い紙切れのようなものを舌の上に乗せるとそのうちとろける、という風邪薬が売っている。 これはチェリー味になっていて、まるで小児薬のようであるが、しかし喉が痛い時などに大きな丸薬を飲み込めと言われても辛いのだから、これは中々手軽な代物である。ただ、本当に効いているのかという肝心な点に付いては、少々疑問が残る。 ところでワタシは、間も無く三十何度目かの誕生日を迎える事になっている。 今年のその日は丁度週末に掛かっていて、しかもこの国では連休にも当たっている。 折りしもこの界隈にある「スキークラブ」というのが大型バスでもって人々をスキー場まで送迎する「ツアー」というのをやっているというので、ワタシは是非それに参加して今年の誕生日をスキー場で迎えようではないか、と楽しみにしていた。 ところが、その「スキークラブ」の会員である友人に是非一緒に行こうとメールを打った後中々返事が来ないまま、その週末バスツアーの申し込み「締め切り」がやって来た。 ワタシはまたしても「締め切り」を逃してしまったのである。 友人はまんまとその「締め切り当日」になって、メールの返事を寄こした。 実は郊外に住む彼女のボオイフレンドにも声を掛け、現地で落ち合おうではないかと誘ったのだが、それは良いねと言った切り彼から詳細について聞かれなかったので、返事を出しそびれてしまったのだが、しかしこのツアーは楽しいから貴方是非行った方が良い、と言う。 しかしワタシはそのクラブの会員では無く、あくまで会員の「ゲスト」という形で、会員である彼女に申し込みをして貰わねばならない。その辺りを確認しながら、しかし締め切りは今過ぎてしまったようだがどうだろう、と返事を出したのだが、彼女はまたしても暫く音信を経ってしまった。 実際「誕生日をスキー場で過ごす」という計画は実現するのだろうか。ワタシは不安に思いながら数日過ごした。 すると漸く先程彼女から返事が来る。担当者に問い合わせたところ、既に締め切りは過ぎバスは満席状態であり、今のところは「キャンセル待ち」のリストに名を連ねるくらいしか遣り様は無いとの事、などと言う。ワタシは俄かに落胆する。 こんな事になるのなら、ワタシが思い付いた時点ですぐさまその担当者に連絡して、友人の紹介なのですが申し込みは出来ますか、などとさっさとアプローチしておけば良かったか。そうすれば他人の不手際の所為になどせずに済んだろうに。 他人の所為にするのは本意で無いのだが、しかし今回彼女が時機を逸し続けたという事実は否めないし、勿論仕事その他で忙しいのだろうとは察するけれども、それにしても今回の件は一寸酷いのではないか、と思う。その為に他の予定を断って来たという点を鑑みれば、彼女の怠慢は許し難い。 気を取り直して、ワタシは別の友人が週末に自宅でパーティーを催すと言うので、スキーの代わりにそれに出掛ける事にする。 尤も、良く考えてみると、それくらいが関の山でもある。週末中ずっと遊んでいたら、開けて直ぐの「締め切り」に間に合わないかも知れない。しかもこの風邪で無理をし通す訳にも行かない。 適度な余暇を持って好しとする。 今ある卵が切れたら、買い物に出掛けようと思う。
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