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2005年03月13日(日) |
『あんたは日本が好きか?』/「悪魔の唄」舞台感想 |
先日慌てて日記書いた家人の体調も序々に落ち着いてきて、ゆっくりできる時間が出来るようにました。 と言いつつも日によって調子の波があるので、これからどうなるのか心配なことには変わりないのですが、とりあえず一安心?
そんな中、KinKiちゃん達といえば、兄弟SPの撮りでハワイに旅立たれたとか?? 光一さんは「SHOCK」2ヶ月のロングラン後、剛さんは「ラスト・プレゼント」のくランクアップ直後…というわけで、兄弟の収録ではありますが、少しはバカンスを楽しんでほしいなあ…なんて思います。
良いなあ…ハワイ…。
さて、本日は延ばし延ばしになっていた「悪魔の唄」の感想を。 ただ、一週間前の話なのに、ちらほらと内容がうろ覚えになっているので…(汗)パンフレットに戯曲が載っているのをいいことに、思わず熟読(笑)
パンフレット本体が黒の紙に銀の文字なので、パソコンの白い画面がちょっとちかちかします(笑)
「悪魔の唄」舞台感想
(あらすじ)
都心を遠く離れた昭和風の古い洋館に越してきた壱郎とその妻愛子。愛子は壱郎の浮気が元で精神を病み、その療養として嫌がる愛子を壱郎が無理矢理にこの館へと連れてきたのだ。 引越し初日。扉が開いたままだった館には女が勝手に中に入り、椅子に座って歌っていた。彼女の名は「さや」。やがてその夫であるという「眞」が彼女を連れて帰ったが、夜、寝静まった頃にまた彼女はこの館へやってきた。 そして、愛子にいう。 「お願い、穴を掘ってほしいの」 嫌がる愛子だったが、言うとおりにすると変なペンダントやカバンが見つかり、その瞬間、「日本兵」だったという身体が腐敗しきったゾンビが現れる。
「さや」の思惑は何なのか? そして、ゾンビとなってこの世にでてきた日本兵の思いとは…?
(感想)
注)ネタバレしておりますので、ここからは白反転でお願いしますm(_ _)m
先週の日曜にも書いたのですが、テーマが「戦争」だったり「ゾンビ」だったりする中、「ちょっと歪んだ人達が狂気を経て、ラストでは修正が効かないほどすさまじく捻じ曲がってしまう」というお家芸(?)の阿佐ヶ谷スパイダースにしては「イイ話」だったかなあ…という印象(笑)
最初にホラーだ、スプラッタだと聞かされていたのですが、今回はそれほどホラーだと思いませんでした。…いや、それ以前の作品の方がよっぽどホラー(しかもサイコ系)だから(笑)
勿論「戦争」という、ともすれば右にも左にも行くことができるテーマを扱う難しさもありますし、長塚節ともいえる登場人物各々の歪みも健在しておりますが、最後は、たった一人(壱郎)を除いて全員が救われたのではないのかと思い、阿佐スパにしては(笑)終演後どこか清々しい気分になった舞台でした。…切ない物語なんですけれどね…。
壱郎役・吉田鋼太郎 元々シェークスピア劇やギリシア悲劇をやられている方なのですが、ただひたすらに小心者で自己中で、独り善がりで一本木になれない「中年」の姿が見事。 悪役どころか小悪党にもなりきれない所が、苛立ちを感じるけれど、どこか憎めなかったです。…そして、そんな彼と自分とをオーバーラップさせてしまうことも…。 終盤、立花伍長に「日本は好きか?」と問われた時に「好きだよ。平和な日本は過ごしやすいから」と居心地悪そうに答えたのが印象的でした。…きっと、私でもこう答えるだろうなあ…と思って。
ラスト、唯一救われないのは彼だったと思います。 けれども、それはどこか「戦争を知らない私達」への課題のような気がしてしょうがありませんでした。
平山上等兵役・山内圭哉 阿佐スパではとにかくカッコイイ役の圭哉さん。今回も見事にカッコイイ!! 最初は相変わらずの「ピラ」役(笑)かなあ…なんて思っていたのですが(笑)なんてこったい!!やっぱり、カッコイイ!!
立花伍長に本当は愛されてなかったのに霊として出てきた「さや」ではなく、どうして自分の妻と子が出てこなかったのかと、自分なら抱きしめて離さないのにと、二人の写真が入ったペンダントを握りしめて泣く姿が切なく、本当は「さや」が愛されてないと知っていてもなお、彼女の思いを成就させてあげたいと、助けてあげたいと奮い立つ漢気にゾクゾクしました。…最期の最期まで本当にカッコイイったらありゃしない!! こういう惚れ方をされたいと女が思い、こんな惚れ方をしたいと男が思うような男。それが似合う山内圭哉。…サイコーったらありゃしない(笑)
カッコイイといえば、パンフレットにて大王と圭史さんの対談で、大王が「圭史が格好悪い山内圭哉を書けば、俺が格好良い山内圭哉を書くんだけどなあ…」ということを言っていて、ちょっと圭史さんが書く「格好悪い山内圭哉」を見たくなりました(笑)…勿論、大王の書く「格好良い山内圭哉」も観たいし(笑)
さや役・小島聖 初・小島聖(笑)いやあ、綺麗でした。お人形みたいだった(笑) はじめは悲劇のヒロインかと思いきや、格別そうでもなく(汗)ただひたすらに立花伍長を思い、立花伍長以外は何もかもがどうでもいいという姿勢はいっそ清々しいほどでしたが(笑)…いや、本当に女の執念は怖いです(笑) でも、この子の可哀想な子には違いないんですよね。 だって、「婚約者」だと思っている立花伍長は、本当は彼女のことを何とも思ってないんですもの(汗) 唯一の救いは、彼女はそれを気付かずに成仏できたこと。愛しい彼に歌を歌ってもらって、幸せに成仏できたこと。 きっと、この登場人物の中で(真実はどうあれ)一番幸せだったのは彼女なのではないのかと思ったりしました。
愛子役・伊勢志摩 前に阿佐スパで出演された「みつばち」で、皆が狂気へと進んで行く中、唯一冷静に周りをみていた「嘉壽之新」と違い、『狂気』と『正気』の間にいる「愛子」がとても哀しかった。 きっと、「愛子」はきっと精神を患ってないと思う。けれど、夫に愛想を尽かしているのに、他に頼る人がいないストレスが「妄想」となり、出会った『ゾンビ』へ『依存』していく形となったのだと思う。
「信じてみるわよ」 爆撃機が手に入ったと嘘をついた壱郎に、こう言った彼女の冷えきった声にますます確信を持ったのでした。
そして、結局は彼女も立花・鏡石と共に米国へ向かう爆撃機へと乗りこんだのでしょうね。 彼(壱郎)ではない何かに頼るために。
紀行役・池田鉄洋 先週の日曜にも書きましたが、最初から最期までマトモな役の池鉄さんを見たのは始めてで、そういう意味でびっくり(笑) いつ、気が狂うんだろう狂うんだろう…と思っていたので、途中「眞」に乗り移られ、目が真っ赤になった時は、思わずキター!!と心の中で叫びました。
どこか狂ってこそ、池鉄!!変人こそ、池鉄!!(笑)
…すいません…きっと私のこれは偏見なのでしょうけれども…(笑)
それにしても、「眞」に乗り移った時のモノマネは秀逸でした(笑)…だって、何が起こったのか、「目が真っ赤」じゃなくても解りましたもん(席がちょっと遠かったので、目が赤いかどうかはちょっと判別がつきにくかったんです)
似てました。…思わず吹き出してしまうほど(笑)
役柄的には、物語を回す上で都合の良い役回り。…なので、それほど役に対しては感情移入することはありませんでした(汗)ごめん…池鉄さん…(汗)
でも、池鉄さんを見るにつけ大阪でも「猫のホテル」(彼が所属している劇団名)の公演をまたやってくれないかなあ…なんて思ってしまいます。 一度しか来ないなんて、ないですよねえ??
立花伍長役・中山祐一郎 中山さんの声はいつでもどこでも私の母性本能をくすぐって(笑)声を聞いただけで「守ってあげたい!」と思ってしまう不思議な存在だったりします(笑) いつもは狂気の沙汰の中にいる役が多いので、「こんな変な役なのに、中山さんの声を聞いたら何故か許せるのよね・・・」と思うのですが、今回は非常に良い役。…なので、普通にストレートに「素敵…」と思ってしまいました(笑)
それにしても、立花伍長は本当に美味しい役。 ただ生真面目に国を思い、祖国のために命を捨てることも辞さない。 自分よりも他者を優先し、自分の信念には忠実で曲げることはせず、思いやりも持っている。
立花伍長は平山上等兵とはまた違った「漢気」で格好良かったです。 名言は多過ぎるほどですが、終盤の壱郎との会話での
「俺も日本が好きだ。意志の強い国だ」
という言葉に切なくなりました。…それが本当かどうか私には判断ができないので。
立花伍長を見ていると、何故か新撰組の「近藤勇」を思い出してしまいました。
彼等の破綻と立花伍長の破綻は決して似てはいないけれども、信念はどことなくオーバーラップするなあ…なんて。
ま、「さや」の件は置いても(笑)
鏡石二等兵役・伊達暁 鏡石二等兵は見所はこそそれほどないのですが、土台役としては最高。 自分以外の兄弟は日本のために死んだのに、自分は何もできずに死んだことを悔やみ、一矢報いたいと考えるその思いを胸に秘めつつ、いろんな人の思いを受けとめ、自分の信念を持つ。たまに道化にもなる。 帽子を脱いだら脳が丸見えで怖い!!…というネタの動きもコミカルで思わずわらってしまいました。
立花伍長や平山上等兵がスーパーすぎたので、この鏡石二等兵はどちらかというと平凡な、普通に葛藤する人物だったのも役のメリハリがあって良かったのかも。
けれど。どちらかというと今回は鏡石二等兵がどうというよりは、パンフレットの伊達さんのコメントが印象的でした。 「戦争」というテーマに対する戸惑いつつも“長塚圭史”の脚本に対する絶対的な信頼が垣間見えて、「ああ、良いメンバーなんだなあ…」なんて思ったのでした。
眞役・長塚圭史 この間の「トップランナー」で、高校時代の演劇部の公演でも自作を発表したのは、『自分が良い役をしたいが為に脚本を書き、演出をしていた』ということを言っていたのですが(笑)それを裏づけるように(笑)私が観劇した過去の阿佐スパ公演でも、結構良い役まわりをしていたという印象があったために(笑)中盤、悪役然としてきた時には
「あら、悪役?」
と意外に思ったのですけれども、結局は、潔い良い役回りでちょっと笑ってしまいました(笑)
眞はただひたすら自分を愛してくれない妻「さや」を愛して。幽霊になっても彼女に愛して欲しくて、まとわりついては嫌われていく。…ただ、彼女が好きなだけなのに。夫であるはずの自分を愛して欲しいがために。
…一見するとストーカーですが、彼の最期、さやの全く気持ちのこもってない「じゃあ、好き。好きよあなたのことが大好き」の言葉に「じゃあ、それでいいや」って笑う彼がすごく切なかった。
本当に、さやに「好き」って言ってもらいたかったんだなあ…って。
思わずさやを殺して、自分も死ぬほど。
総じて、登場人物の思いの矛先はそれぞれで、そのそれぞれがすれ違い、からみあって物語は進んでいく。 私好みの、群像劇でした。
最期に昨日、お見舞いに来てくれた親戚のおじいさんがしてくれた話をひとつ。
彼は太平洋戦争で出兵していたのですが、ある日、現地で急にお腹を下したのだとか。 それが本当に酷くて、酷くて酷くて、トイレに篭もりっきりだったので、それを見かねた上等兵が軍病院へ行くように勧め、一日入院することになったのだそう。
…で、その晩。
おじいさんが元々いた兵隊の寝床だった場所がB25によって爆撃され、多くの人が命を落としたそうです。
この「悪魔の唄」では『シモ関係」で命を落としたのですが、おじいさんは『シモ関係』で命を拾われた。
フィクションとノンフィクション。この差は大きいですが、何となく因果だなあ…なんて思ったのでした。
長くなりました(汗) でも、とても面白かったです。
さて、「OZ」のチケットですが、まだまだ受付ております。
★チケットの詳細★ Studio life 「OZ」 3/19(土) 午後2時開演 イズミシティ21 12列 2連番
よろしくお願いします!!
My追加
ここは
「ふわふわ。り」様の素材を使用させて頂いています。
「つんづつっづ占い」はじめました。
KinKiの二人と彼等が演じたドラマキャラの占いです。
ネタ・シャレ・気分転換にでもどうぞv
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