目の前の若いサラリーマンが電車の中で突然泣いた。雫が1、2粒ゆっくりと閉じた左目からこぼれていった。窓から射す光が涙の跡をしんしんと照らしていた。彼は『君の街まで』を聞いていた。音漏れが僕にはほとんど気にならなかった。