朝ちょっと仕事にいった後で彼女さんのところに行ってきた。
彼女さんの家に行く電車の中でこれからの彼女さんとの話し合いを思うと気が重くなってしまう。 伝えなきゃいけないことをうまく言えるかな?とか思ってしまう。
2週間ぶりの彼女さんはとても元気そうだった。 俺は「また痩せたんじゃない?」と開口一番言われてしまった。
彼女さんはお昼ご飯を準備をしてくれていたのだがこれからの話し合いのことが気になっているせいか夕べから胃痛と軽い吐き気があって食事は無理そうだった。 こんなだから誰かとずっと一緒にいるというのが難しいんだと思う。 彼女さんが悪いわけではないから申し訳ないなぁと思う。
「美味しそうだなぁ。ただ朝食べ過ぎたから今お腹すいていないんだ。後でもらってもいいかな?」 俺は彼女さんに嘘ばっかりついている。
彼女さんが食事をしている横で彼女さんの近況に適当な相槌をうつ。 楽しそうな彼女さんを見ていると罪悪感を感じてしまう。
食事を終えた彼女さんはコーヒーを、胃を悪くしている俺は紅茶をパリで買ったおそろいのマグカップに入れる。 「やっとこのカップで飲める。」と彼女さんは嬉しそう。
冷え切った身体に紅茶はあたたかい。 「で」と彼女さんが俺の前にプリントアウトした物件を並べ始めた。 彼女さんの心の中では一緒に住むことは決定したことで後はどこに引っ越すかだけ。
紙をぼんやり眺めている俺の横で彼女さんがいろいろ言っているのだが言葉が頭に入ってこない。 「言わなきゃ。」「言わなきゃ。」と気持ちは焦るのだが言葉が出てこない。
そうこうしているうちにどんどん気持ち悪くなってきてついに我慢できなくなってトイレに駆け込んでゲーゲー吐いてしまった。 といっても胃にはさっき飲んだ紅茶しかはいってないから吐くのは楽だった。
驚いた彼女さんを見ていたら不思議と心が決まった。 もう嘘をつくのはやめようとそう思えた。
今殺人的に忙しくて一緒に住んだとしても帰って寝るだけの生活になってしまうから一緒に住む意味があまりないと思うこと。 今の通勤距離でも遠すぎてきついのにこれ以上遠くなるのは辛いと思っていること。 情けない話だけど体力的にぎりぎりで毎日辛いこと。 母親は仕事はなんとか続けているけどもともと丈夫じゃない上に持病が悪化していておまけにこの暑さにやられてしまったせいで俺からみるとやっと生きているように見えるということ。 お医者さんからも何が起こっておかしくないと言われていること。 息子としては今はどうしても目が離せないこと。 だから一緒に住むのはもう少し待ってほしいと。
俺が一方的にしゃべっている間彼女さんはずっと黙っていて。 俺が話おえた後もずっと黙りこんでいた。
何分ぐらいかな? 気まずい沈黙が続いた後で彼女さんが「仕方ないなぁ。Junは軟弱だから仕方ないなぁ。」って。 「軟弱って何だよ。」って言い返したら「軟弱は軟弱よ。軟弱だから仕方ない。」。 そう言いながら彼女さんが俺に抱きついてきて「私この細ーい身体が好きなのよね。やっぱり痩せた。絶対痩せたでしょ。痩せててもいいんだけどね。軟弱だから困るのよねぇ。なんとかならないかしらねぇ」だそうで。 その後ずっと痩せてるとか軟弱とか言われ続けた。
とりあえず今回の一緒に住む話は俺が軟弱なせいで先送りになったみたい。 理由はひっかかるけどとりあえずよかったってことにしておこう。 問題を先送りしただけかもだけどもう考えたくない・・・
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