サマセット・モームが世界の名作と呼ぶ、オースティンの作品に私が何をとやかく申すことがありましょう。名作ですよ、名作。 面白かったです。題名はなんともはや、色気がないけど。 他愛もない若い者の話を、特に前半、だらだらとした世間話で引っ張って、でも、引っ張ってついに最後まで読ませてしまう。読んでいるうちに、登場人物それぞれの性格が妙に実感できて、納得してしまう。やばいよ、これ。 音楽も文学もクラッシックがいいですね。 この作品が書かれたころ、わが日本国は京伝だの三馬だの馬琴だのって時代。あの時代の日本のお姉さんがたがエリザベスみたいってのはちょっと想像できない。19世紀のイギリスよりは江戸のほうが近いはずなんだけれど、日本髪のお姉さんが出てきちゃあお終いよ。中野好夫の訳だと、この小説の舞台がまるで、昭和初期の山の手って雰囲気。 結婚は女子一代の一大事。そのこと自体はくだらないのですが、でも、そういう時代なんですからね、そこは一つぐっと飲み込んで、その一生の一大事に何も悩まないで経済だけを眼中にした女と家族が多かったから、こういう作品が書かれたのでしょう。愛のない結婚なんてダメよ、勇気のない愛なんてダメよ、反省のない愛もダメ、自分を見失うのはもっとダメ・・・ それにしてもよくもまあ、この程度の背景でこれだけのことが書けるものです。脱帽、だつぼー。メッセージ先行でないのも上等の印なんでしょう。読み終わったあとにあれこれ残るものを考えているうちに、作者の思いが伝わるって感じですね。うん、うん。日本でこういう作品が書けるとすれば、一葉だろうか、なんて思ってしまいました。 名作だ〜!
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