あたたかなおうち



 病院

駆け込んだ病院で、祐ちゃんと一緒に診察を待つ。
握った手には、自然に力が入ってしまう。

白黒の画面に、小さく動く心臓が映し出されて
先生はほっとした口調で私を諭す。

この子を守るのは、旦那さんでも校長先生でもなく
あなた自身なんですよ、お母さん



仕事と、子供と。
頭ではわかっていても、
心から大切にできなかった自分がふがいなくて
どちらにも申し訳なくて、勝手に涙があふれてしまう。

祐ちゃんは、すぐに気づいて私の肩を抱き寄せる。

先生としての俺や華の代わりはいくらでもいるから大丈夫
でも、この子の母親は華だけなんだよ


まだ全く目立たないお腹に、祐ちゃんが手を添えて
私もその上から手を添えたとき
いよいよ涙があふれて
きっとまた一つ母親に近づいていく。

2006年10月11日(水)
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