あたたかなおうち



 お寿司

昨日は私たちの記念日だった。

特別な日に行くお寿司屋さんがある。
親方ひとり、お手伝いひとりの
こぢんまりとしたお店だ。

扉を開けると
いつものように二人が笑顔で迎えてくれた。

祐ちゃんと親方は世間話をしている。
私は耳を傾けながら、たまに相槌を打つ。

お寿司は勝手に出てくる。
まるでわんこそばのように
こちらがストップをかけないと、親方は延々と握り続ける。

あっ私はもう結構です
あわててお皿の前に手をかざす。
もういいの?じゃあもう2つだけ食べようよ
親方は大きなお腹で笑いながら、すでにうにを握っている。

親方は食べさせ方を知っている。
気がつくと、いつもお腹が苦しくなるほど食べてしまう。

帰り道、苦しい苦しいとうめく私に
祐ちゃんはくすくす笑って手を差し出す。



2004年11月03日(水)
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