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■ 手のひら
バイト先と祐ちゃんの家はとても近い。 バイトのある日はたいてい祐ちゃんの家に帰る。
祐ちゃんは居間でうたた寝していた。 ここで寝たら風邪ひいちゃうよ、と 一度起こして、部屋に連れて行って寝かせる。 隣に座って、布団の上からぽん、ぽん、ぽんと ゆっくりと軽く拍をとる。 まるで母親のように。
祐ちゃんが眠ったのを確認してから、 私も着替えて歯を磨いてくる。 電気を消して、祐ちゃんの隣にそっと潜りこむ。
布団があったかい。 手をつなごうとして、手のひらを合わせると 祐ちゃんが握ってきてくれて驚く。 眠っているはずなのに。 確かめてみるとやっぱり寝ている。
優しいなぁ、祐ちゃん。 私は、くすくす笑いながら 手を握り返して眠りにつく。
2004年10月22日(金)
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