あたたかなおうち



 手のひら

バイト先と祐ちゃんの家はとても近い。
バイトのある日はたいてい祐ちゃんの家に帰る。

祐ちゃんは居間でうたた寝していた。
ここで寝たら風邪ひいちゃうよ、と
一度起こして、部屋に連れて行って寝かせる。
隣に座って、布団の上からぽん、ぽん、ぽんと
ゆっくりと軽く拍をとる。
まるで母親のように。

祐ちゃんが眠ったのを確認してから、
私も着替えて歯を磨いてくる。
電気を消して、祐ちゃんの隣にそっと潜りこむ。

布団があったかい。
手をつなごうとして、手のひらを合わせると
祐ちゃんが握ってきてくれて驚く。
眠っているはずなのに。
確かめてみるとやっぱり寝ている。

優しいなぁ、祐ちゃん。
私は、くすくす笑いながら
手を握り返して眠りにつく。


2004年10月22日(金)
初日 最新 目次 MAIL


My追加