Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 サッカー日本VS北朝鮮
2005年02月10日(木)

 昨夜開幕したサッカーの06年ワールドカップドイツ大会アジア最終予選で、B組の日本は埼玉スタジアムで北朝鮮に2―1で勝ち、勝ち点3を獲得しました。3大会連続3回目のワールドカップ出場に向け、幸先のいいスタートを切りましたね。

 まず日本が前半4分に、いきなり小笠原のFKで先制しました。相手陣で北朝鮮のバックパスを左サイドで三都主がカット。倒されて得たFKを小笠原が直接決めました。
 その後日本は最終ラインを高い位置に保って、ゆっくりとしたボール回しからチャンスをうかがいます。一方の北朝鮮は日本の左サイドの裏にボールを放り込んでいくという試合展開。北朝鮮は25分、日本ゴール前での細かいパス回しから、安英学がシュートを放ちますが、GK川口が落ち着いて抑えます。北朝鮮は28分、チェ・チョルマンに代わってFWキム・ヨンスを投入さらに43分にはラフプレーが目立っていた左DFのパク・ヨンチョルをベンチに下げて、ナム・ソンチョルを入れたりと、前半から積極的に交代カードを使ってきました。

 そして、北朝鮮は後半立ち上がりから攻勢に出ました。北朝鮮は後半16分、短いパス回しで、日本の守備陣を崩し、左サイドからナム・ソンチョルが突き刺して同点となってしまいます。それを受けて日本は19分、鈴木に代わって高原を投入。21分には、田中と中村を入れ替えて、合宿ではほとんど試していない4バックに変更しました。この高原と中村の投入によって、それまで精彩を欠いていた日本の攻撃が、一気に好転しました。
 日本は後半33分、小笠原と相手GKが接触してこぼれたボールを高原がシュートしましたが、これは惜しくもバーを越えてしまいました。その後日本は34分に玉田に代えて、大黒を送り込みます。北朝鮮は39分、リ・ハンジェとパク・ナムチョルを交代し、これで両者とも交代カードを全て使い果たします。そしてどちらも追加点が挙げられないまま試合はロスタイムへと突入。引き分けムードが漂う中、日本は試合終了わずか1分前に、GKが弾いたボールを福西が大黒へ、大黒がゴールに押し込んで決勝点を挙げ、ギリギリで失いかけた勝ち点3を引き寄せました。

 日本は辛くも北朝鮮に勝利したわけですが、最新のFIFAランキングで日本が19位なのに対し、12年間国際試合をおこなってこなかった北朝鮮はB組で最低の97位。数字上では格下の相手で、試合前までは日本の圧勝ムードすら漂っていましたが、蓋を開けてみれば、北朝鮮は予想以上の強敵でした。ワールドカップの最終予選においては、ランキングはまったくの机上論に過ぎないと言うことがよくわかりました。
 北朝鮮は試合前まで徹底した非公開練習で情報統制を貫いてきたため、そのスタイルや実力はまったく謎に包まれていました。しかし、10万人を超えるといわれる北朝鮮のサッカー人口の中、金正日総書記が「世界の強豪に引き上げるために組織した」という『4・25体育団』や、在日Jリーガーなどで構成された代表戦士が、国のために素晴らしい戦い振りを見せました。前半4分に失点しましたが、計4枚のイエロードを受けながら、最後までラフプレー気味に食らいついてきました。「将軍様のために」という精神なのか、泥臭いサッカーが、日本の精密機械を狂わせました。
 後半に入ってからの攻めは驚異的で、持ち前のスタミナでまったく攻撃の勢いは衰えることがありませんでした。特にゴール際でのパス回しが正確で、日本のディフェンスを翻弄し、何度も日本のゴールを襲いました。そして後半16分、左サイドからのナム・ソンチョルのシュートは、日本の守護神川口の守備の、ほんのわずかな隙間を縫ってのゴールでした。
 北朝鮮と日本は現在、国家間の問題で何かと対立ムードが漂っていますが、サッカーにおいてはそんなことは全く関係ありません。今回の試合は日本も北朝鮮もお互いの死力を尽くした、とても素晴らしい試合だったと思います。

 しかし、日本はこの試合で最終予選第2戦の3月25日のイラン戦に大きな課題も残しました。MF三都主アレサンドロとDF田中誠が警告を受け、1次予選から累積2枚でイラン戦は出場停止となってしまったのです。三都主の日本を救ったプレーですが、代償は大きかったですね。同点の後半44分、FWキム・ヨンスに左サイドを独走され、たまらず三都主が背後からチャージし、それに対しイエローカードが出されてしまいました。日本代表30試合連続出場中の鉄人・三都主ですが、次戦でその記録が途切れてしまいます。
 後半6分には、田中も累積2枚目となる警告を受け、これにより、最終予選最大のヤマ場となる次戦で、攻守の要を欠くことが決まってしまいました。

 北朝鮮戦は通り道。本番は最終予選B組最強の敵・イラン戦です。直前合宿では、イラン戦の出場停止を恐れ、ジーコ監督から「イエロー厳禁令」が下されていました。ラフプレーや時間稼ぎなど「売られたケンカを買うな」が合言葉でした。しかし、ピンチとなれば話は別です。仮に三都主が抜かれていれば、北朝鮮が決定機を迎えていたでしょう。負けられない思いで、三都主は自身を犠牲にしたのです。
 ジーコ監督は、初戦は身を削って勝利をモノにしましたが、次戦では2枚の大駒を落とした戦術の練り直しを迫られることになったわけです。三都主の代役は三浦淳、田中の代役は坪井が有力ですが、最終予選は、やっぱりひと筋縄ではいかないですね。次戦イラン戦は最終予選B組最強の相手、しかも日本は敵地に乗り込んでの試合。是非ともこの大きな試練を乗り越えて欲しいです。


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