Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 F1新予選方式、土壇場で否決
2004年06月29日(火)

 7月9日から開催されるF1第11戦イギリスグランプリから予選方式が変更されることになっていたのですが、その決定が覆り、新しい予選方式の案が否決され、イギリスグランプリ以降も現行のままの予選方式が継続されることになりました。

 現行の予選では土曜日に2階の予選が行われ、1回目の予選は2回目の予選での出走順を決めるためだけの予選、そして2回目の予選のタイムで決勝でのスターティンググリッドが決定します。しかしこの2回の予選はいずれも1台ずつによる1発勝負のアタック。しかも2回目の予選後は決勝スタートまでマシンに触ることができないため、ガソリンも決勝で最初のピットストップまでを走る分を搭載しての予選となり、その搭載量は決勝での戦略によって各チーム様々で、現行の予選は必ずしも速いマシンが上位に来るとは限らないものとなっています。

 一方、今回否決された新しい予選方式は、2回の予選で各マシンが自由にアタックを行い、そのもっとも速いタイムを予選タイムとするものでした。しかも予選終了後も燃料補給が可能なので、各マシンは空に近い燃料タンク、つまりもっとも軽い状態のマシンでアタックすることができるため、以前のように予選セッションも純粋な「最速決定戦」として、決勝レースとはまた違った醍醐味が楽しめるものでした。

 今回の突然不採用となった背景には、現行では1台ずつのアタックであるためテレビ画面に映し出されていた下位チームのマシンが新方式では写らなくなり、スポンサーへの影響が懸念されたと見られています。また新方式で2002年までの107%ルールが復活すれば、異次元的な速さを持つフェラーリのポールタイムに対し、常に最後尾スタートのミナルディがその107%以内のタイムを出すことは困難となり、ミナルディが2台揃って予選落ちとなってしまう可能性も影響したと思われます。現在のF1ではコンコルド協定により、シーズン中の大幅なルール変更は、各チームのチーム代表全ての賛成が得られない限りできないことになっています。以前はイギリスグランプリからの新予選方式導入に全チームが賛成していましたが、土壇場になってジョーダンとミナルディが反対したと言われています。

 また、テレビ局側も新予選方式には反対だったそうです。25分間のセッションが2回行われる新方式では、コース状況が最も良くなるまでほとんどのトップチームがアタックを行わないと予想され、各セッションの終盤に一斉に登場することになります。「相当熟練したテレビプロデューサーでなければ状況を見失ってしまうだろう」と某テレビ関係者は語っています。また、コースが空になる“空白の時間”も心配されています。

(つづく)


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