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■ 草薙くんの秀吉
2004年01月21日(水)
少し時間が空いたので、溜まっていたドラマのビデオから、SMAPの草薙くん(「なぎ」という字は本当はこの字ではないのですがパソコンでは打てないらしい)が主演のドラマスペシャル「豊臣秀吉〜猿と呼ばれた男〜」を観ました。
正直な話、観る前まではそれほど期待はしていませんでした。史実の秀吉と草薙くんのイメージとがあまりにも違いすぎるし、草薙くんを秀吉役に抜擢したのは話題性づくりなのではと思っていたからです。 ところが、見始めてみるとこのドラマ、史実の秀吉像から大きく変えて、「人を殺すのが嫌い」、「いい人で誰からも慕われる」という新しい秀吉像を描いている物語だったのです。一般的に知られている秀吉のイメージからはかなりかけ離れているので、史実に忠実でないものを好まない方には受け入れにくい内容かもしれませんが、ドラマはフィクションですから、固定概念を取り払って、新しい角度から歴史上の人物を捉えてみるという試みはなかなか面白いことだと思うんですよね。あの新撰組の沖田総司が実は女だったとか、徳川家康は2人いたとか、源義経は海を渡ってチンギス・ハーンになったとか、歴史を覆すような話はいくらでもあるわけですからね。まあそういうわけで、このドラマの秀吉は戦を嫌い、人を斬ることを恐れ、その人の良さで周りの人間がどんどん集まって来るという人物で、その生い立ちから天下の太閤に登り詰めるまでを一気に描いた作品です。
草薙くんは、はっきり言って演技が下手です。歌もあまり上手くないし、かつぜつも悪い。しかし、彼の演技に対する姿勢はとても真面目でひたむきさを感じます。一生懸命役になりきり、自分なりに全力投球で役にチャレンジしているのがわかります。同じSMAPのキムタクは草薙くんとは対照的に、マスクもいいし、歌も演技もそつなくこなし、彼が出演するドラマを観ていても、その演技に余裕すら感じられます。しかし、草薙くんの演技の方が観ていて心を打たれるものがあるのは何ででしょうかねえ。
もちろん演技というものは実力の世界であり、ただ真面目でひたむきという姿勢だけではやっていけないわけですが、今回の「秀吉」もそうですが、彼の出演するドラマは、どれも好感が持てるんですよね。最近では年1回スペシャル版で放送される「TEAM」や「僕の生きる道」など、役に対して身体全体で体当たりしているだけに、時々それがものすごい迫力を生み出したりします。草薙くんは本当に不思議な人だと思います。 草薙版の秀吉は、ちょっと情けなくて、戦乱の世に武士として生きるのはあまりにも甘過ぎ、人を信じすぎる秀吉ですが、やはり肝心なときには圧倒的な存在感を見せてくれます。メリハリがあって心の中の葛藤や苦悩をうまく表現していて、感情移入もできてよかったです。この脚本の秀吉は、草薙くんにしかできないなと思いました。
このドラマに対する評価は賛否両論だったようですが、僕は観てよかったなと思ったし、感動しました。まあ僕自身がストーリーにのめり込みやすいたちであると言うこともあるんですけどね。草薙くんに拍手を送りたいです。
余談ですが、織田信長を裏切る明智光秀役の宮迫博之(雨上がり決死隊)も、あの悪人面で明智役にピッタリでした。彼の演技もなかなか良くて、さすがにドラマに引っ張りだこなだけあって良い役者になったなあと思いますが、ドラマでのシリアスをバラエティーでやられてしまうと、逆にさむかったりしますね。コントで宮迫にマジな顔されてもねえ……。
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