2007年10月03日(水) |
『殺風景』 熊木杏里 2003.3.26 |
最近とても好きな熊木杏里さんのファースト・アルバム。
全曲、しんみりと淋しい。その淋しさはしみじみとかみ締めるような寂しさだ。 か細いともいえる声が時にはハードな音にも勝る強さを持つ瞬間も感じられる。 だいたいこういう細い声の人の曲はあまりハードなアレンジはしないものだろうと思うけど、分厚い音にも負けないか細い歌声だ。 デビュー曲の「窓絵」。何度聴いても胸が詰まる。 荒井由実の「ひこうき雲」を聞いたときにも似たあの悲痛な叫びが聞えるけど、でもぜんぜん違う。 もっと近い。主人公にもっとこの歌は近いところにいる歌なのだ。
この人の曲は詩が先にできるのだろうか、それとも曲先? 「殺風景」「咲かずとて」「心の友」などは詩人の詩に読める。 「心の友」は明るく歌っているけど、「心の友をつくるのなら そいつは笑わしといたほうがいい」とはどういう意味だろう。 「心の友」という言葉は良いひびきだけど、「真の友」ではないのだろうか。
曲はフォーキーだけど、音が分厚いので個性がよく出ていて良い。詩は全編素晴らしい。心に残る。
来月発売される4枚目のアルバムが待ち遠しい。
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