林心平の自宅出産日記

2005年01月14日(金) 育児休暇と協調性

 ぼくの職場では年に一度、上司が職員の評価をするために個人面接をおこないます。その場では、職員の希望を言うことができます。
 そこで、育児休暇を取得したいと考えていることを伝えました。まず、3月に妻が出産予定であり、自宅出産をするので、生まれたら残っている10日程度の有給休暇をまとめて使いたい。その際に、もちろん、妻が出産したときにとれる3日間の特別休暇もとる。そのために、3月におこなう予定である調査を早めにやっておきたいと、言いました。
 それらは、可能だということでした。
 次に、4月1日から4月30日まで育児休暇を取得したい。理由としては、まず、自宅出産であること。転勤が予想され、そうなると子どもの保育園が変わる。その際にはならし保育が必要であるが、それはぼくがしなければならないこと。家族全員の生活環境が変わるので、そのケアをしたいこと、を伝えました。
 それに対する上司の返事は
「難しいだろうな」でした。
「どうしてですか。育児休暇制度はちゃんと明記してありますよね」
「それはそうなんだけど、1人が1か月いないと、その分、まわりの人がカバーすることになるだろう。その人が回せないんだ」
「でも、それは、育児休暇をとらないという前提で、人と仕事を配置しているということになりますよね。今までとった人はいないんですか」
「そうなんだ。いないんだよ。まあ、出してみて、もしだめだということになったら、労働組合でとりあげたほうがいいよ。1人でやると、実現できないかもしれない」
 どうも、納得がいきませんでした。制度がないのなら、職場全体の問題として、制度の確立を求めていく、ということになるでしょう。でも、すでに制度はあるのです。それなのに、取れないなんて、おかしな話です。

 話は変わって、ぼくの評価という話になりました。
「仕事はよくやっているし、まちがったらすぐ謝るし、とてもいい評価だ。でも、ひとつだけ、低い項目がある。協調性だ。家族を大切にするというのは、正しいと思う。そして、おれはそれを理解しているけれど、それを理解していない上司もいるから、心配だ」
 どうも、仕事よりも家族を優先して、飲み会にあまり出ないとか、そういうことを言っているようでした。でも、上司の言った評価は、まさにぼくの目指していたスタイルだったので、内心、嬉しく思いました。
 仕事は頑張る。家庭の事情を仕事に持ちこむ。
 結局、育児休暇をとるということは、家庭の事情を仕事に持ちこむことになり、「協調性に欠ける」と評価されるということのようでした。

 家に帰って、妻に言いました。
「今日、上司との面接があって、とてもいい評価だったんだけど、ひとつだけ低い項目があったんだ。それはね、」
「協調性」
と二人の声はぴったりあいました。
「どうしてわかったの」
「そりゃあ、わかるよ」
2人して、笑ってしまいました。


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