そよ風


2005年04月14日(木) ストレスの原因

この町に引っ越すことになった時、周囲の知人達は皆同じことを言った。
「○っちゃんは、絶対に大丈夫! 活発だし、シッカリしているし!」
母親の私もそう思っていた。
大人しい息子の方は少し心配だけど、娘は誰が見ても大丈夫な子。
転校しても、すぐに新しい環境にも学校にも慣れるだろうと。

小学校二年生の秋だった。
すぐに新しいお友達もできた。
転校して一週間後の運動会にも参加した。
予想通り何もかも順調に行っていると安心しきっていた。

でも、ある朝、娘は学校を休むと言い始めた。
たしかに顔色は優れない。熱は無さそうだが全く元気が無い。
ただただ「しんどい・・」と言う。

活発で元気な子、友達も学校も大好きな子だから、
ウソを言ってズル休みなどする筈がない。
きっと、いろいろな疲れが出たのだろう、と思った。

でも、家で寝ているわけでもない。
閉じこもって、所在無さ気にボーっとして過ごしている。

そして翌日も学校に行かないと娘は言った。
初めて、アレ? おかしいぞ・・・
とり合えず、近所の医院に連れて行った。
特に悪い所は無かったが、触診の後、医者は
「ストレスでしょうね。胃がカチカチに硬くなってます。」

ストレス? この子がストレスなんて・・・


原因は給食だった。
転校先の担任の方針は「絶対に給食を残さないこと」

娘は食が細くて食べるのが遅い。
昼休み中ずっと食べて、それでも残った分は、そのまま保存。
そして放課後に再びそれを食べる。全部食べ終わらないと帰れない。

知らなかった〜。

前の小学校では、残すも残さないも自由だった。
楽しく食べるということをモットーに
机を寄せ合ってグループになり、お喋りしながらのランチタイム。
担任は毎日順番に各グループの中に入り、いっしょに食べる。
「○○さんは、プロ野球は好き? どこのファン?」」
などと話しかけてくれた。

ここの小学校は、食事中は喋ってはダメ、
できるだけ、サッサと食べ終えること。
学校によって、こうも方針が違うものなのか。

娘は輪切りのコーンがどうしても食べられないと言った。
「そんなもの、コーンをかじったら、すぐにパンを押し込んで、
パンといっしょに食べればいいよ」
すると、驚くべきこたえが返ってきた。
「コーンはデザートだから、全部食べ終わってからでないと
食べたらアカンの!」


まだ、周りには全く友人も知人もいない私は、
担任に医者の証言も交えた手紙を書いた。

幸いなことに、娘は再び元気になった。
自分の食べきれる量を自分でとる、という方法になったそうだ。

すぐに解決して下さったことに感謝もするが、
私はその後、娘の担任が変わる度に、先生にその話を愚痴ってしまった。

それは、決して給食を無理強いしないで欲しい、
給食のせいで登校拒否になることだってあるのです、
と言いたかっただけなのだが、
かなり、恨みがましい口調だったと思う。
今でも根に持っているくらいだから。
もう、二十年近く経つというのに・・・

でも、最近その話が出た時、娘は言った。
「私はね、いつも、あの子は絶対に大丈夫、
と思われることが一番イヤだった」

そういうことだったのか。
いつも無理して、必死に頑張らなければいけなかったのね。
ほんとうのストレスの原因は、意外なところにも潜んでいたのね!


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