ユミコのメモ箱
DiaryINDEXpastwill


2005年07月06日(水) 公開中のリトグラフについて


37cm×50cm リトグラフ


先日のリトグラフ『十葉扁舟』シリーズ7作のうちの、2作目。

リトグラフをよく知る方以外には分かりにくいかもしれないどうでもいいことではあるが、技法的な解説を少々。

このシリーズ7作は、すべて同一の1版から刷られた絵である。

ジンク版に、まず先日の1作目を描画して、刷る。
通常、刷り終わった版は、保存するなり破棄するなりして終了、となる。
でも今回は、この1作目の描画を部分的に消去したり加筆したりして、新たな2作目の版として、保存(製版処理して、寝かせる)。
そして、上の2作目を、刷る。

この2作目の版にまた加筆・修正をして、明日の3作目、となる。

この作業を10回繰り返して、10作の絵を刷ったのだ。


だから10点のリトができあがり、只今『THE LIBRARY 2005』で公開中の立体作品『十葉扁舟』の1葉に1点づつ、計10葉の重なった作品として貼り込んであるわけなのだが、このうち7点は平面作品として単独に見せてもいいんじゃないか、と考え、サインを入れた、というわけだ。

残りの3点は?というと、平面として単独に見せるには、ちと刷りが甘かった、というのが正直なところ・・・・というのも、10回も加筆・修正を繰り返すことで、版そのものがかなりくたびれてくるのだ。カットした3点は、ラスト2点と、中盤の1点である。

この方法は、学生の時には銅版(エッチング)で試したことがあった。
腐食して刷り、またその版を腐蝕して刷り・・・を30回ほど繰り返して、最後には真黒の絵にした。


ジンク版はアルミに比べて加筆・修正するのに適しているという性質があるので、以前から「リトでもやってみたい」と思っていたこの方法にはジンク版が合うと考えていた。


リトはアルミ版が主流であるが、私は以前ここで述べたようにジンク版が好きだ。今回10年ぶりに使ってみて、ますますこれはいい!と感じた。
そしてこの『刷っては加筆・修正し、また刷り・・・』という方法も、自分のリトグラフに対する物足りなさを解消する、しっくりくるものであった。
ちなみに現在制作中の新作(個展『むかうのくには廻る』)も、この方法を取り入れている。


版画の性質。版画の利点。版画で制作する意味。
これを最大限に活かした作品、というのが、私の技法面からアプローチしたコンセプトなのだ。



そんなわけで、絵が刻々と変化してゆく様も楽しんでいただければ、これ幸い。


佐藤由美子 |HomePage