ユミコのメモ箱
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国立近美に横山大観『生々流転』の後半部分を見に行く。
『生々流転』は横山大観が制作した40メートルという日本で最長の絵巻物で、絹地に墨一色で描かれている。
以前、前半を見に行った時、後半部分が小さめのレプリカで展示されていた。それを見て、「前半よりも後半がいいかも」と思っていた。
そしてその通り、やはり後半、特に、さらに後半がよかった。
私は以前から絵巻物を作りたい、と思っていた。念願だった歌留多を作り終えたころから。
その間に、『十牛図』という、作りたい巻き物のテーマとも通じる、すでにカタチが出来上がっているものに出会い、ああ、まだ私には手に負えない、大きすぎるテーマなのかも、ということをあらためて感じてしまった。そこからつかずはなれずのところで今まで様々な形態の作品を作ってきたが、その最終目的形である絵巻物には、まだまだ手も足もでない、と。
その少し後、テレビ東京の『美の巨人たち』という番組のスペシャルで、横山大観の『生々流転』を取り上げていて、たまたまその存在を知った。(でも、個展直前かなにかで忙しく、激しい睡魔に打ち負けて、番組の内容はほとんど記憶にない・・)
「ああっ、すでに先を越されていた」とその時思った。横山大観を前に、大変おこがましい。
今日、『生々流転』を最後まで見て、ちょっと決意できたような気がしている。
今まで「作りたい!」という衝動に駆られるままに作ってきて、早すぎたと感じたり、そこで終わったりしたことは、一度もなかった。
何かを作るたび、「コレって、最高!」と舞い上がり、作り終えたとたんにコレはもう過去のものになって、と同時になにか物足りないものに見えてきて、そして次に繋がっていった。
今、次に繋がっていない。先が見えない。
今一番作りたいものって、これなのかな、と『生々流転』の後半部分を前に思う。
最高のモノが出来なかったとしても(十中八九)、そこからまた次の未知なるモノに繋がればいいんだ、と思う。
そんな気に、一瞬だけど、なった。
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