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それまでネットというものに深く関わったことはなかった。 パソコンを購入してからもたまにメールをしたり、旦那さんが天気予報や路線の混み具合を見るとき、たまに旦那さんの趣味?で懸賞のコーナーを見るとき以外は、パソコンを便利に活用したことはなかった。
数年前にとあるスクールが縁で知り合った友人がいた。 美佐とタカコ。 私たちの共通の趣味は創作すること。主にイラストや小説や・・・。 普段頻繁にやり取りをするというわけではなかったが、年に一度か二度3人で食事をしてはその場の楽しさで盛り上がった。 特にタカコとは気があった。スクールではそんなに会話をしてはいなかったが、電話などで話しをする機会があるたびに、根っからの気安さというか話しやすさ、噂話、創作についての情熱、子供時代の話、コンプレックス様々な面において時間を忘れお喋りをした。 彼女の持っている気概というか、とにかくウマがあったのだろう。 オトナになってからの親友は持ちにくいというが、タカコは自然に私のなかにそういう位置に落ち着いていった。 時にオトコ勝りで、「孤独には強い」というタカコ。 孤独に弱い私には、憧憬にも似た気持ちを持った。 そして何故か私の回りには「孤独に強い」友人と「弱い」友人が多い。
美佐は良く言えばエキセントリック、苦い表現を使えば時に勝手な友人でもあった。 美佐の提案で3人で始めたリレー小説。 2、3度集って、あらすじを3人で食事がてら練った。本当は『遊び』なのだからもっと各々が自由に書いて、おおまかなあらすじだってたてなくたっていいような気がしたのだが・・・大雑把でチームプレーが本来苦手な私は心の片隅でソッと思っていたのだが、流されるままというか、ま・それはそれでいいかといい加減に構えていた。それでも書くときはそれなりにマジメに書いていたし、決しておざなりでもなかったつもりだ。タカコもそうだったと思う。
あるとき、美佐がちゃぶ台返しをするまでは、そのリレー小説ヤマありタニありを超えながらも続いていくはずだった。 「あたしは本当はこんなジャンル(サイコホラー)やりたくない。前のヒト(タカコ)のあとの尻拭いをするような展開の続きを書きたくない。終わらせたい」と。 私とタカコにとっては青天の霹靂だった。 だって、サイコホラーというジャンルになったあらすじも、話の流れ的にそれが一番自然ではあったが、むしろその色を強めていったのは他ならない美佐自身だったからだ。
それに前のヒトの尻拭い(美佐の弁だが)といったって、たまたま今回はタカコが美佐の前クルーを担っていたが、そもそもリレー小説とは「尻拭いをしつつ、己で展開して、それを次のヒトにバトンタッチしてその行方を楽しむ」のが醍醐味だと思っていたので、その根底を否定されるようなことを言われたので、私とタカコはびっくり仰天である。
しかも前前からガマンしてたと言い放ち、無理やり美佐のクルーで話を終了させられてしまった。しかも登場人物の名前も間違えられ設定も無視された・・・申し訳ないけれどご都合主義で終わった物語だった。 ま、美佐は力づくで終わらせたかったのだから、それも彼女のなかでは道理なのだろう。
ただ、私とタカコの中ではくすぶるような、ナニカ納得できないものが残ったのだけど。
それでも。
美佐と私とタカコの友情?は終わりはしなかった。 といか、この暴挙に対してのショックも哀しみも、タカコにとっては私が、私にとってはタカコがサンドバックのように聞き役に回ってうっぷんを晴らしていたので、イライラとした不満のほとんどはソコで消えていったのだ。 もちろん友人である美佐自身にも直接抗議も不満も伝えたし、もっと早く言ってほしかったとも伝えた。 美佐はあっけらかんとしたもので(ソレはソレで純粋に感心するものもある)、全く悪気がないものだから、結果的に彼女と縁をそれっきりにするほど溝は深くならずに、細々と交流は続いた。
そして、美佐がまた提案をしたのだ、私に。 一緒にホームページをやろうと。
ルツ
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