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2004年09月21日(火) |
美しき偽善(エレナ・ポーター『少女パレアナ』) |
エレナ・ポーター『少女パレアナ』読了。
パレアナよりポリアンナの方が馴染みがある。 それはどうでもよいのだけれど、「よかった探し」というアニメでの呼び方は、 なかなかのネーミングだったのだと実感した。 「喜ぶ遊び」じゃ、なんのことやら。
『若草物語』や『赤毛のアン』と、 同時代の女性作家の作品なので、まあ同じようなものかと思って読む。 言ってみれば偽善的な、なんでも喜びを探しましょうっていうゲームがメインなわりに、 お説教臭くなく、主人公の奔放さを楽しめるところは『アン』に近い。
パレアナの発言は、そりゃもう見ようによっては偽善のカタマリなのに、 なぜかそうはならないのが、面白い。 病人に向かって、 他の人が自分のようでないことを喜んだら? なんて言っていた本人が、 事故で歩けなくなってしまい、やっぱりそんなふうには思えなかった、 という逆転には感心した。
唐突な事故の発生は、かなりご都合主義を感じるけれど、 これによってパレアナは成長し、また一方に大人のロマンスもあるんだから、 やっぱりこの物語には必要な出来事なんでしょう。 作者は、なかなかに巧みな人だと思う。
蛇足。 名人、村岡花子さんの訳だけれど、さすがに時代を感じます。 貧乏牧師に育てられた11歳の娘が、 「うれしくてたまりませんわ」 って、「ませんわ」ってそんな。 思わず爆笑。
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