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2004年08月12日(木) |
あえて少年の成長物語といいたい(あさのあつこ『バッテリーII』) |
あさのあつこ『バッテリーII』読了。
あとがきで「少年の成長物語などと言わせるものか。友情物語などと貶めたりしない」と書かれてしまった。 でも、そうでしょう?
少年は、自分を信じて、 信じきることで(信じきろうとすることで)、 大人も巻き込み、周囲を変えていく。 その影響力たるや、すごい。 間違いない。 でも、そうありながら、少年自身も変わっていく。 けして妥協するのではなく、より強く大きく。 これを成長といわずして、なんというのか。
大人のやり方、大人の事情に染まることが、 「成長」ではないでしょう。
それに、もう一人の少年だって、やっぱり変わっていく。 大きく、強く。 常に悩みながら。 そして、悩みの質が変わっていく。 それもまた、ひとつの成長。
そういう、若くて、稚拙で、 でもエネルギーに満ちていたときが、あったんじゃない? わたしにも。 読んでいると、なにかこう、胸がわくわくするような、 懐かしいころに戻るような、そんな興奮がある。
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