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今日もまた駅での話。 ターミナルなので、みんなお行儀よく並んで、電車の到着を待っていた。 電車が到着。列が前へ詰めていく……いざドアが開く、まさにその刹那、 一人のおじさんがスーッと滑り込むようにして、列の一番前に横入りをしたのだ。 それはもう、あまりに鮮やかで。 一瞬、唖然としてしまったくらいだ。
と、ここからが肝心。 それを見ていた駅員さんが、外から電車の窓を開けて、 そのおじさんを説得し始めた。 「みなさんね、座りたいから並んでいたんじゃないですか。ね、ここは立ちましょうよ……」 低く静かな声で、あくまでも穏やかに。 けっして、あなたは横入りだ/悪いやつだ/ずるいんだ、などと直接的に非難はしない。 結局、おじさんは席を立って、電車も降りてどこかへ行ってしまった。 ちょっと駅員さんに文句を言っていたけれど(酔っぱらっていたみたい)。 憤懣ムードに包まれていた車内も、ふわんと和んだのだった。
とても素敵で、かっこ良いと思った。
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