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<今日のニャン様>
ボール状のパンダしとめたニャ!
syggです。どうも。
いやあ。春ですねえ。
春になると、色んなものが頻繁に見られるようになります。
虫とか。花とか。脳が可哀想な事になっている人とか。
また、春は出会いと別れの季節でもあります。
その「別れ」の一幕を、先日電車の中で見ましたよ。
仕事帰りの通勤電車内。
その二人は俺が乗っている電車に揃って乗車してきて、目の前の席に並んで腰掛けました。
片方は背丈170cmほどの、眼鏡をかけた活発そうな好青年風。
片方は背丈160cmほどの、小太りでモジャモジャ頭のいわゆるアキバ系。
共に大学生っぽい男性で、クラスメイトか同じサークルの仲間のようです。
「俺も今まで、よくお前と付き合ってきたと思うよ」
好青年がウンザリした表情で口を開きました。
なんだなんだとただならぬ雰囲気に、俺の意識は前方に集中しました。
「なんでそういうこというんだよォ!」
小太りが目を細め、口をとがらせて反論します。
何というか、見るからに負のオーラを放出しているというか、全体的な雰囲気だけで万人を不快に
させる能力を持っているというか。見るからに変な電波出してる。
10秒程度見ただけで、俺もこの小太りの持つ特性により「うざいなあこいつ」という印象を得て
しまいました。
「明日さあ、映画観に行こうよ。俺とさァ」
なんだこの小太り。人の話を全く理解していないのか、それとも強引に話題転換を試みたのか。
いづれにせよ、全く空気を読めてない発言により更にむかつき度アップ。
「嫌だよ!何でお前と映画観に行かなきゃいけないんだよ!大体お前と映画観に行って、
面白い訳がないだろ!」
・・・少々言い過ぎのような気もしますが、恐らくいつもこんな感じなんでしょう。
心底ウンザリ、という感じで好青年もヒートアップします。
「なーんで!行ってみなきゃわからないだろう!?行く前から何でそんな事がわかる!?」
小太り、必死の反論。声なんて裏返っちゃってます。顔は赤く上気し、口も更にとんがる。
さながらその姿はタコのよう。
ここで気づいたんですが、この小太り、いくら言動が乱れようと、表情は「半笑い」から
崩れることがないんですよ。
ああ、だめだ。俺だったら生理的に受け付けない。
この後も暫く二人の言い合いは続き、静かな車内には落ち着いた口調と裏返った声だけが
響き渡りました。
冷静に正論を返す好青年とは対照的に、小太りの方といえば、上から物を言うような態度、
人の意見を聞こうとしないのか理解できないのか、自分の主張だけを押し通そうとする発言、
そして話の腰を折りまくる、キャッチボールなら大暴投的な会話。
第三者である俺も、「がんばれ好青年!」と心の中で応援してしまうほどの強敵。
並の人材じゃないな、と確信しました。俺なら戦う前に白旗あげますよ。
最終的に、小太りが企画しようとするコンパ内容が、前回おかしたという失敗を全く踏まえて
いない内容である事に立腹の好青年。
「この企画なら、お前の友達も喜ぶと思うョ」
「お前、俺の友達なめんな。ていうかもう二度と連絡するつもりないから。じゃ」
こう言い残し、好青年は下車していきました。
こんなハッキリとした決別の現場、今まで見たことない。
残された小太りは、変わらぬあの表情でブツブツ一人文句を言ってました。
うざいから俺は座席を移動しました。
考えてみると可哀想な奴なのかもしれません。
もっと違う性格が構築されていたのなら、この小太りの人生ももっと違ったものになったろうに。
育った環境がいけなかったのか。親の教育がいけなかったのか。
自分なりに必死でコミュニケーションをとろうとしたのに、どうもうまくいかない。
人知れず悩み、影で泣いているのかもしれません。やがて現実を悲観するようにもなるんです。
ああいう人間が、にちゃんねるとかで誹謗中傷に精を出すんだろうなあって思った。
かわいそうな人です。ほんとに。
それにしても、こんなに面白い事を目の前で繰り広げられたら、疲れた電車内で眠る事も
許されない訳ですよ。
おかげで寝不足。勘弁して頂きたい。
まあ、ネタになったからいいか。
そう考えると、ああいう存在もある意味必要なのかもしれないな、って思いました。
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書いてる人:しぐ
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