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2005年06月26日(日)_
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ツール・ド・美ヶ原2005

レース当日の朝、5時に携帯のアラーム(着うたフル)で目が覚める。外は曇り空だった。昨日みたいに晴れたら、青空の下気持ちよく走れるんだけどなぁと思った。暑くてもいいから晴れる方が好きだ。
5時半に朝食。6時には宿を出た。この宿は会場に近くて、宿から直接会場へ向かえるのがいい。ロードも前日のうちに組み立てて走れる状態のまま1階の宴会場に置いておけるし、宿の駐車場に車も置いておける。このレース参加者への優遇がすごく気に入っている。
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防寒具などが入ったバッグを頂上行きのバスに預け、会場周辺を走ってアップ。最初は球場の周りをグルグル回っていたけど飽きたので、道を外れてローカルな道へ。ここもけっこうアップしている人がいた。
7時過ぎに会場に戻り、走り屋さんとスタート前まで待機。今回は年齢でクラスが分かれたので、スタートは別々になる。7時半からチャンピオンクラスを始め各クラスが出走していく。
そしていよいよおれの走るロード男子A(16〜25歳)のスタートが迫る。去年はスタート直前に慌てて並んだので最後尾だったが、今年はちゃんと前方位置をキープ。スタートが近づくにつれ、緊張感が高まってくる。この感覚がたまらない。
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そしていよいよスタート。おれの前にいたライダーがやけにもたついて遅かったので両脇からガンガン抜かれた。最初はあまり飛ばしても大して変わらないので落ち着いて走って行く。激坂に入ってからが勝負だ。
浅間温泉の商店街を抜ける。「もうすぐ激坂だぞ〜」と沿道の応援。今年もあれがやってくる。去年は初めてだったので、ものすごい衝撃だった。今年は2回目となるので、多少心構えがある。勾配がきつくなるにつれてギアを落としていき、すぐに27Tまで落ちきる。そして激坂が始まった。
今回は出走順番が変わって、さらに前のクラスと3分離してスタートしたため、押して歩いている女子選手などの姿はない。前回押している選手がジャマだったとか文句が出たのだろうか。とりあえず走りやすいのでいいと思う。
勾配がきついので、ひたすらダンシングで上っていく。HRがどんどん上昇。体へのダメージも大きい。しかしシッティングではまともにギアを踏んでいけない。勾配18%の激坂が続く。何回来てもここはキツイ。
ダンシングを続けていて疲れてきたが、ここで腰を降ろすわけにはいかない。一直線の激坂が折り返しになるところが一番勾配がきつい。ここで止まってしまったら押して上るしかなくなる。
スタートしてまだ2kmも走ってないのに、レース中最大HRの191までHRが上昇、きついダンシングをどこまで我慢できるか、自分の中で格闘していた。ようやく激坂区間を過ぎると、安心感すら覚えた。まだ20km近く残っているんだけど。
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激坂区間が終わっても、きつい勾配は続く。HRは常に180前後。おれの最大HRが195だから、最大HRの92%という完全に無酸素運動領域。こんなHRでは最後まで保たないと思いつつ、レースではいつもこれくらいで走れてしまうので、今回もこのままいく。というか勾配がきつくてHRを落とせない。
しばらく走ると、周りに似たようなペースの選手が出てくる。とりあえず前にいる赤いWADAジャージの163番をターゲットにする。とにかく激坂でのダメージが大きく、人についていくだけでも苦しい。
常時180以上を表示していたHRが突然60まで落ちた。HRの胸バンドがずり落ちてきたようだ。走りながら片手で位置を直すと再び180台に復活。ここでほんとにHR60台だったらプロ選手並だ。
先ほどターゲットにしたWADAジャージがペースアップし、おれはちぎれた。先の事を考えると、ここで無理はできない。自分の力量を考えて、ペース配分することが大切だ。この時点でもけっこうオーバーペースなんだけど。
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4.4km地点にある給水ポイント、美鈴湖に近づくと少しの間平坦になる。重たい足を回して速度を上げ、今年もここの給水をスルーして速度を維持。水分は十分に2本のボトルにつめてある。
再びきつい勾配が続く。速度は10km/h台。ケイデンスも50台まで落ちる。緩ければMt.富士ヒルクライムのように上りでも90rpmで回せるが、この勾配ではコンパクトかトリプルにしないとそれは無理だ。
まだ全体の3分の1も走っていないのに、早くも限界っぽくなってきた。キツイ、苦しい、脚が重い。そんな中、ジュニアの部のゴールが見えた。もうここでゴールでいいよ…とすら思った。
気力でなんとか走り続けていると、「中間地点」の看板が。おいおい、まだ半分かよ…と、むしろ気が滅入る。タイムをみると50分ほど。これが2倍だったら1時間40分になってしまう。でも実際には後半に下り坂とかもあるから、もっと短いだろう。
しかし、ここまでの走りで、去年より明らかに脚が回っていないことを実感していた。ここ1ヶ月はレースばかりで、あまり走っていなかった。1週間前はローラー2時間やっただけだし。明らかに練習不足だ。
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去年より他の選手に抜かれる数が多い。悔しいが、体が気持ちについてこない。序盤に見失ったWADAジャージを発見。無理なペースで走ったからか、彼はひどく疲労しているようで、失速していた。そして彼をパスする。やはり無理して飛ばしても、全体的にみればタイムが遅くなってしまう。自分にあったペースが重要だ。
中盤からは後ろからやってきた10人ほどの集団を目標に気力を保つ。エウスカルテルのオレンジジャージが眩しい。他にもエフデジューっぽい白ジャージなど全体的にカラフルな構成で、プロのレースみたいでおもしろかった。
いつもは上ハンドルに手を添えるだけのリラックスフォームで上るが、勾配がきつくいところでは手でハンドルを少し引かないとペダルが回らない。普段きつい坂をほとんど走らないので、こういった場面での走り方というのも練習しておく必要があるかもしれない。
中盤から終盤にかけて、あまりに苦しくてやめたくなってきた。周りに同じように苦しんでいる選手がいることでなんとか気持ちが続いている。苦しいのは自分だけではないのだ。
女子の選手だって走っている。60歳を越えるようなおじいさんだって走っている。そんな中、まだ24歳の健脚の男が「きついから」ってやめるのか? それは他の人が許しても自分が許さない。
ヒルクライムは、つくづく自分との戦いだと思う。甘える自分と努力する自分が常に戦っている。老若男女がそれぞれのペースで一つのゴールに向かって走る。リザルトにはタイムと順位しか残らないが、その過程で各選手は様々な事を思い、感じ、成長していくだろう。
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水道の蛇口をひねったように、汗が常にしたたり落ちる。霧の中を走った去年と違って、天気がいい分気温が高い。こまめに水分補給をしていく。2回目の給水では水をもらって飲んだ。
汗止めのヘッドバンドをしているから直接目に汗が流れてくることはないけど、これがなかったらまともに走れないくらいだ。汗かきのおれにはヘッドバンドは必需品だ。
Mt.富士ヒルクライムでは踏み込むだけのペダリングになっていて、ふくらはぎに負荷がかかって攣りそうになってしまったので、今回は腿の上下運動をしっかりと意識してペダリングをしていった。
その効果もあり、終盤までいい感じに疲労を分散できていた。それでも終盤になるとダンシングしたときに脚が攣りそうになった。ペダリングがいいかげんだともっと早く攣りそうになっていたかもしれない。
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終盤、いよいよ勾配が緩くなり、平坦になった。ここはタイムを稼ぎたいところ。ちょうどよく3人グループがいい速度で走っていたので後ろに付く。平坦では空気抵抗が大きな障害になるので、集団で走った方がいい。
脚が限界だったので3人の後で走っていても苦しく、何度かちぎれそうになった。しかしここでちぎれたら余計苦しくなるので、何とか必死に食らい付いていった。
そして下りになり、高原の爽快な下りを60km/hで突き進む。一旦上りになり、再び下り。去年は霧が濃くて先が見えず下りが恐かったが、今年は視界良好。下りきると、最後の上りになった。
ここは去年、最後の最後の力を振り絞ってダンシングでゴールまでラストスパートを決めた。しかし、今年は体が言う事を聞かず、重たい脚をなんとか回していくのが精一杯だった。
今年はやけに沿道にカメラマンがいて、人の影でゴールのカラーコーンが直前まで見えなかった。周りがダンシングでラストスパートをかける中、「ゴールはまだか?」と思いながら走っていた。そして気付いたら目の前にカラーコーンの列があり、そのままゴール。
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走り屋さんのゴールを待ち、ゴールの写真を撮って、選手に配っている冷やしトマトをいただいた。よく冷えていて、これが最高にうまい。去年会津でもらったアスパラガスが一番おいしいと感じたアスパラガスだとしたら、このトマトがトマトの中で一番おいしいと思う。
しばし座ってまったりと休み、通りかかったカメラをもったおばさんに写真を撮ってもらった。近くにはバイクフライデーの2人乗り自転車があり、これで激坂をどうやって走ってきたのかすごく気になった。2人でダンシングとかタイミングがメチャクチャ難しそうだし。
下山用にアームウォーマーやウィンブレなどの防寒具を持ってきていたが、あまりに暑いのでレーパン&レージャーのまま下ることにした。荷物は何も持ってこなくてもよかったくらいだ。
下山は今回も写真を撮りながら下った。高原の景色は相変わらず素晴らしく、選手のカラフルなジャージと相まって、とてもいい絵になっていた。この下山のときのためだけに望遠のFZ2を持ってこようかと本気で思っていたのだが、来年はマジでもって来ようかなと思った。3倍ズームではあの感動を納めきれない。
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上りで前に同じKLEINのロードを見つけた。よく見ると車種まで同じQ-Carbon Race。赤いやつで、5月の会津のヒルクライムレースのゴール地点で見かけたのと同じっぽい。気になったので話しかけてみた。
そしたらやはり同じ人だった。KLEIN乗りというだけでも数が少ないのに、同じモデルに乗っている人を見つけると嬉しいものだ(逆にTREKなど、あまりに乗っている人が多すぎるのも嫌いなんだけど)。
景色が開けているところが終わると、下りに専念する。美ヶ原の下りはけっこう自由に飛ばせるので気持ちいい。それでも勝手にガンガン抜いていくのは危険なので、ちゃんと列を守って下っていった。
下りの隊列を無視してガンガン下って行くのはMTB乗りが多かった。集団走行のロードと山に自由を求めて走りに行くMTBとの性質の差が乗り手にもよく現れているのだろうか。
会場のある下界に出ると、一気にムワッとした湿気と共に暑くなった。自転車を輪行しているときも絶え間なく汗が流れ続け、飲み物がなくなっていたのでほんとにきつかった。
ロードを車に積むと、宿の風呂に入って汗を流した。チェックアウトした後もレース後に風呂に入れるのがこの宿のいいところだ。来年も間違いなくここを利用するだろう。
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レースのタイムは去年より2分以上遅い、1時間28分40秒。練習不足が結果によく表れた。日頃の睡眠不足が体調に影響があったというのはあるにしても、ここ1ヶ月まともに走っていないというのが一番の原因だ。
5月6月は会津、Mt.富士ヒルクライム、美ヶ原とレースが2週間おきにあり、普通に走る時間が減っていた。去年はMt.富士が9月にあったから問題なかったんだけど、どれもいいレースだから外したくないし、難しいところだ。
ツール・ド・美ヶ原は勾配がきつくて、去年は走り終えたときに「来年は絶対コンパクトドライブにして挑む」と言っていたが、結局換えずにそのまま今年挑んだ。そして今年も同じ事を思ったのであった。シマノがコンパクト出してくれたら速攻換えるんだけどなぁ。
確かにきつい上りだけど、キツイ分、走りきったときの達成感は大きい。女性や60歳以上のおじいさんだって走りきっているから、トリプルやコンパクトなど、無理のないローギアを用意すれば誰でもゴールした達成感を味わうことができるだろう。
走り応え、話題性(話のネタになる)、景色も含めて素晴らしいレースなので、まだ参加したことのない人は是非参加してみてほしい。最高においしい冷やしトマトが頂上で待っている。
データ:PolarData(CLICK Here!) 走行日:2005/06/26 走行距離:21.4km 走行時間:1h 29m 05s(ゴール後の区間含む) 平均速度:14.4km/h 最高速度:62.9km/h 上昇距離:1275m 心拍数(平均/最高):181bpm/191bpm 平均ケイデンス:69rpm 積算距離:10691km(ロード)
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