ぶらんこ
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2004年12月14日(火) 交響曲

姉のお店ではいつも穏やかな曲が流れている。
どこまでも優しく、静かで心地良い。。。
曲じゃないときもある。
1/f(ゆらぎ?)とか呼ばれる音。
森に流れるせせらぎや鳥のさえずり。波の音。波と遊ぶイルカの声。。。
こういった音は、疲れた体と心に良いのだろうと思う。
休息を求めてやってくるお客さんにはきっと必要な「癒し」の音。


時々わたしも(お客さんのいないときに)ひまし油パックをやってもらっている。
温かいひまし油パッドをお腹に当てるのだが、ベッドに横になって音楽を聴いていると、とろとろといつの間にか眠ってしまう。
疲れてるわけでもないのに。。。と、不思議に思う。
でも無自覚なだけで疲れているのだろうな。。。たぶん。


「癒しの音楽」といったようなことが書かれているCDを聴いていて、思い出した場所がある。
ナウシカが呼び寄せられた幻の庭。
今、手元に原作本がないので、その場所の名前が思い出せない。。。
(全7巻の漫画版「風の谷のナウシカ」に出てくるシーン。映画には登場しない。)

そこは、きらきらとした光が降り注ぎ、そよ風の吹く平和な「護られた」場所だった。
外界からは見えない。つまり、存在しない場所だとも言える。
ナウシカはそこへと入り、そして、いつまでもそこにいたい、と願う。
すべてが調和に満たされたその場所に。

けれども、ナウシカはやがてそこから出て行く。自分の力で。
引きとめようとする強い存在に、彼女はきっぱりと言う。
「無駄です。オーマに名前を与えたときから、わたしは心を閉ざしました。」




わたしは映画になったナウシカの曲たちが大好きだ。
わたしにとっての「癒し」の音楽だと思っている。

腐海の中で、胞子の結晶が雪のように樟気の森に降り注ぐときの、どこまでも透明で静かな、美しい音楽。
蟲たちがざわめき始め、森が異様な雰囲気になるときの緊張した音楽。
ナウシカが怒りに燃え上がり、闘い、人を殺めるときの、荒々しい力強い音楽。
王蟲が登場するときの、神々しくも重厚な音楽。
ナウシカの心をあらわす、深いふかい悲しみの音楽。
風をつかみ、空を飛ぶ、優しくてとても自由な音楽。


いろんな音に、メロディーに、サウンドに、自分の心が重なる。
憤り、苦痛、自責、抗い、激しさ、悲しみ。。。
自身の中の感情が、音楽とともに体中の細胞ひとつひとつにしみわたっていき、ほとばしる。
そして最後に、心は静かな喜びに満たされていく。
希望。しあわせ。祈り。。。
そういった言葉が心に浮かんでくる。
なぜかわからないけれど、いつもいつも涙が出てしまう。


音楽というものは本当に美しいなぁ。。。と思う。
それに響きあう、ひとの心も美しいのだろうな。。。と思う。

そして、「癒し」ということもまた、そういうものなんじゃないかなぁと思う。
優しいだけでない、静かなだけではないもの。
交響曲のように。
出会い、経験、共有、変調、放出、受容。。。

一連の流れがあってこその、美しさ。


marcellino |mail