ぶらんこ
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近所にとても良い温泉施設を見つけた。 「健康ぷらざ」という名前のその施設には、温泉を利用したプールがある。 「温水」プールではない。れっきとした「温泉」プールだ。 プールの後にはお風呂にも入れる。しつこいようだが、もちろん温泉のお風呂。 プールも温泉も(望むのであればジムも)すべて利用しても300円なり。 素晴らし過ぎる。感涙モンだ。
そのことを母に話したところ、母は是非連れて行って欲しいと言う。 膝の悪い母には、きっと良いに違いない。 でも施設を利用するには水着が必要だ。買わねばならない。 しかしそれよりも、母に水着を「着せる」ことが想像出来ない。 ・・・思わず噴出してしまった。
そういうワケで、少し前から母が来ている。 このところ、脚全体にしびれと痛みがあり、リハビリが思うように進まなかったからだろう。 成果はともあれ、ひきこもりがちだった母が外へ出ようとしていることが嬉しい。
母のために水着を購入し、早速出かけて行く。
水着(&水泳帽)姿の母は、とてもかわいい。 見ているだけで楽しくなってしまう。 そして、母もわたしの姿を見て笑っている。 わたしたちは笑いながら、プールの水のなかへと進む。
母が水のなかを歩く。 脚が軽い、と言いながら歩く。 「跳んでみるといいよ」とわたしが茶化す。 「そんなことしたら体が倒れるよ」と母は言う。 「浮力があるからおぼくれないって」と、わたし。 すると何も言わずに母は笑っている。
母は何周も何周も、水のなかを歩いた。 わたしはときどき泳いだり潜ったりして、顔を出しては母に手を振る。 こころがシンクロの真似をして、突然水中からわざとらしい大きな笑顔で飛び出す。 母はそれを見て、笑い転げながら歩いている。
水のなかはバリアフリーだ、とよく聞く。 本当にそのとおりだと思う。 母のあんな笑顔を見られただけでも、充分だ。。。
余談だが、ちょっと不思議に思ったことを母に尋ねてみた。 「水着着るの嫌がるかと思ったけど、そうでもなかったね」 すると母はこう言った。
「ちゅぬ シマなてぃ へぃき」
なるほど。。。そういうこともバリア・フリーというわけか。笑
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