何でだよ。 何で今更、そんなこと云うの。 今更。 どれだけ泣いたか、知ってるの? どんなに悩んだか、解ってるの? 何で今更、しかもこんな時に。 アナタの子が産まれるんだよ。 あたしの知らない女の人との子供が。
並んで歩くことさえなくて ただ、愛することさえできなくて あたしはいつも都合良くて。 それでもいいと思ってた。 傍に居られることがひと時でもあるなら それでもいいって 必死にアナタを好きだった。
失くすのは、あたしだけだ。 だからあたしは全部賭けた。 けれどアナタは何も云わず いつの間にか、他人のものになった。
裏切りだとすら云えない。 責めることさえできない。 あたしはアナタの何でもなかったから。
やっと忘れられると思ってた。 薄れるアナタとの思い出に 微かに安堵していた。 なのに。
なのに、何で 今更、あたしを好きだと云うの。 大事だなんて、 嘘でももう、聴きたくなかった。
彼女を誰より愛してるくせに。
嘘つき。
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