かなしみはオレンジの匂い


2004年07月15日(木)
どうしてもまた読みたくて、菅原氏に我儘を言って掲載していただいた「かなしみはオレンジの匂い」の感想文です。ん〜、もう、マイッチングなくらい好きです☆オレンジが食べたくなりますよね・・夏。私のもっとも好きな作品のうちの一つなんです。

そもそも、感想文っていうか・・コレじゃあ「あとがき」だよ!お前何様!(白目)みたいな感じだけど、ノンノン・ノープロブレムです☆な、なによ!あんまり見ないでよ!そう、だって私は赤パジャマ。


---------------------------------------

かなしみはオレンジの匂い

書き手のセンスが優れていると、ただの場景描写ですら物語になる。
光と香りの表現力は、もはや彼独自の「強烈な個性」という以上の適切な言葉が見当たらないほどである。

オレンジとみかんの語感の差、そういうちょっとした言葉に敏感に反応する登場人物の中にも、作者の研ぎ澄まされた感性を感じる。
決して長い話ではないのにもかかわらず、終盤に「人生はほんのりと悲しみに満ちている」という部分に差し掛かると、恐ろしいほどすんなり、まるで元から自分の心の底にあった感情だったかのように、胸の奥から引き出されてくる。そして自然とオレンジの香りで満たされる。
自分の記憶にあるオレンジの香りを確実に再現してくれるのだ。
ただそれは、決して自分の意思ではなく作者の意図である。

現代人のせわしない日常生活の中ですら、たくさんの「小さな幸せ」を感じるとれるであろう瞬間が散りばめられている。
そういう日常の小さな幸せを見つけよう、と思えるきっかけになる作品。



My追加