baby poem
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眼窩の窓枠に手をかけて 外を覗きながら 頭蓋骨の中にいて 僕は かたん、かたん、と 運ばれていきます
窓の外の風景は 黒いあたまや 白いうわぎの 吸収する 反射する光が すこし曲がって ゆらゆら、と 過ぎていきます
銀色の手すりに 外がわのぼくが 手を伸ばし 棒に触れると 頭蓋骨の中には ちりちり、と かすかな音が 響きます
地下に入ると 窓には 薄い膜がおろされて 右から左へ流れる 白い砂つぶに しばらくのあいだ見とれていて
ぼくは窓枠から離れます
ちりちり、という かすかな音は ピンクのやわらかい床から響く ぼん ぼん という 振動と調和して ゆったりとした 音楽のようにきこえます
旅は 音楽にのって 誘われる眠りの 薄い膜の内がわで
緑のもやのかかる 河岸にたどり着きました 赤土と粘土の地層から カワウが 飛び立ちます てらてら、と光って 魚がいる しゅん、と川に飛び込む 一瞬 今にも 止まりそうな いきおいで 窓へ向かって 水しぶきが先端を尖らせ
僕は窓枠の下に身体を縮めて
おそるおそる覗き見る 頭蓋骨の外の世界は
相変わらずで ぼくは かたん、かたん、と運ばれていきます
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