2003年03月28日(金) |
こんなにも切ない殺人者がかつていただろうか |
青の炎の原作を読み終わった。 なんだろう、今感じてるこの気持ちは表現しにくい。 本を読んでこんな気持ちになったのは初めてだ。 久しぶりに本を読んで泣いた。 それはたぶん主人公が自分と同い年だから。 17歳っていう歳がすごくひっかかるんだと思う。 高校生の犯罪は多い。 殺人も多い。 だけど…そういう事件を起こしてしまった人も 一言に「悪い」とは言い切れない気がする。 殺人を肯定するわけじゃない。 殺人は悪い事だ。 一方的に人の命を、その人の人生を奪ってはいけない。 だけど結果的に一番苦しむのは 殺人を犯してしまった本人だと思う。 この本の主人公の秀一もそうだ。 秀一は大好きな、愛する家族を守るために殺人を犯した。 あの人を殺さない限り家族に平和は訪れない。 家族を守るために、殺人を犯してしまった高校生。 なんていえばいいんだろう。 必ずしも悪いとはいえない気がする。 愛する人を守るという行動の結果が 殺人という悲しい結果だった。 そんな悲しいことを1人で背負ってしまった秀一。 たった一度の人生をこんな悲しい結果で、 しかも自ら終える事になってしまった。 そんなの悲しすぎる。 なにが17歳の少年に 完全犯罪を計画させてしまったんだろう。 こんなこと実際にあっちゃいけないことだよ。 誰か秀一を助ける事はできなかったのかなあ。 紀子が秀一の犯してしまった事に気がついて、 自分が傷つくのをわかっていながらも秀一を助けようとした。 だけど結果的に秀一は自殺してしまった。 私と同じ高校生の男の子が、 本来なら平凡に学校生活を送るはずなのに、 こんなに1人で苦しんで、悩んで、 自らの命を絶つことになってしまった。 最後まで秀一は家族を守ろうとして。 このままだと自分は逮捕されて、 家族にもあらぬ報道をされる。 母はすべてのプライバシーを暴かれ、 遥香の将来もめちゃくちゃになってしまう。 そうならないためには「被疑者死亡」 つまり秀一が死ぬしかない。 秀一には自分のことを愛してくれる家族も友達もいたのに。 その家族を助けるためにしたことが こんなにも自分を苦しめて、 最後にはその愛してくれる人たちを悲しませてしまった。 そんな悲しいことがあっていいのだろうか。 私には死んでほしいほど、 殺したいほど憎んでいる人はいない。 嫌いな人はいるけど、やっぱり死んだら悲しい。 自分の手で殺さなければ家族に平和は訪れない。 そこまで追い込まれてしまった秀一は 本当にかわいそうだ。 本の帯に書いてあった 「こんなにも切ない殺人者がかつていただろうか」 というのはすごく当てはまった言い方だと思う。 もうなんていったらいいのかわからないけど、 私が今こうやって普通でも 平和な毎日を過ごしているという事は すごく幸せな事なんだと改めて気が付く。 もう一度観にいこうかなあ。
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