SAY-TEN DAIRY 〜晴天日記〜

2005年07月12日(火) 西陽のあたるベンチに腰掛けて

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まるで 透明になったみたい 

全部 自分をすり抜けていく

そんな風に 感じてたのかい?

( 少年よ / 布施 明 )

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「おう!ひっさしぶりやな〜!」
「・・・はぁ。久しぶりです・・・」
「どうしたどうした・・・冴えない顔して・・・えぇ?」
「・・・はぁ。さえないっす・・・。」

久しぶりに訪ねた、先輩のお店。
歳は僕より5つばかり上か。
かつてはよく一緒に
洋楽を中心としたアーティストのライブに行ったり、
彼の自宅の高級オーディオ(笑)で一晩中、
いろんな音楽を聴かされた(笑)ものだった。
その中で得た知識や好きになったバンドは数知れず・・・。
そう言う意味で、僕にとって兄のように慕う人だ。

「まぁ、座り〜や」

指差したのは、店の前にある強い西陽のあたるベンチ。
男ふたりが腰掛ける。

仕事の事からプライベートな事まで、公私にわたることすべて。
すべてが空回りしているようで・・・
すべてが報われないようで・・・

僕の話をひとしきり聞いた後、

「大丈夫!心配スンな」
「・・・はぁ・・・。」
「それにしても・・・頑張ってるなぁ、オマエ。
もがいとるなぁ〜・・・(苦笑)。」
「・・・はぁ。」
「でも、大丈夫や!」
僕の肩に、彼の手がポンとのった。

「オマエにはおまえにしかやれん事を
しっかりやってるやん。
オマエみたいな年代の、他の誰にも残せないような
ことを、おまえだけの足跡をしっかり残してるで。」
「・・・・・・」
「それは自信持ってええ!そしてこのまま迷わずに
自信持って進め。自信もって行け!なぁ、わかったか?」

肩に置かれたその手は、僕の心を溶かすように温かだった。

「誰が見てなくても、わかってくれなくても、応援してる。
頑張れや、なぁ?」

ベンチに射す西陽が、ふたりの影を東に伸ばしていった。

言葉にならないものが心にが渦巻いて、
でも、なんとか、
明日からまた頑張っていこうという気持ちになった。

明日もまた、頑張っていこうと思った。


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