SAY-TEN DAIRY 〜晴天日記〜

2004年12月28日(火) fridge

fridgeはいいバンドです。
「いい楽曲を演奏するいいライブバンドでありたい」という
僕たちの思いを完璧に具現化したバンドです。

何より
メンバーの事を互いに尊重しあう、とても仲の良いバンドです。
それが
音に出ていました。
メンバー皆で煮詰めた曲に出ていました。
だから
聴くもののの耳に、何かしらの印象を残して、
解散してもなお、今も語られる不思議な存在へと
昇華していったのかも知れません。

僕はかつてそこに居ました・・・。
そこで、す〜さんやまるさん、
DANNYやぼびぃと共に、
煌めく時間を過ごしていた時がありました・・・・。

2004年12月28日の夜

そんな僕の
そしてfridgeメンバーの肩に
“奇跡”が舞い降りた一夜でした。

通称「ダニスタ」に、fridgeメンバーが顔を揃えるのは
最後のライブのビデオ鑑賞会以来・・・。

そこに待っていたのは、
各メンバーの所属するバンドのライブビデオと、
DANNYやまるさんが買い込んで来た
たくさんの食べ物と飲み物と、
いつになく眩いメンバーの屈託ない笑顔・・・。

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終わる筈のない愛が途絶えた いのち尽きてゆくように
ちがう きっとちがう 心が叫んでる

ひとりでは生きてゆけなくて
また 誰れかを愛している
こころ 哀しくて 言葉にできない

la la la ……  言葉にできない


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解散を話し合った夜の事、今も鈍い痛みのように心に残っています。
まだ、一年も経っていないのですね・・・。
まさにバンドの“命尽きていくよう”な・・・「あの夜」の事。

しかし
互いを憎みあったわけでも、
「音楽性の違い」とか言う“陳腐な理由”でもなく、
あの時に取るべき最良の、
しかも避けがたき運命のように
回避できぬ道だったのでしょう・・・。

今は何の後悔も悔悟もありません。

でも
「あの夜」があったからこそ・・・一度リセットした「あの夜」があって、
そして、その時もそれ以後も、
互いをいがみ合う事も罵りあう事もなく
これまで過ぎてきたから
“今夜の奇跡”があったのかも知れません。

まだあれから・・・一年も経っていないというのに・・・。

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せつない嘘をついては いいわけをのみこんで
果たせぬ あの頃の夢は もう消えた

誰れのせいでもない
自分がちいさすぎるから
それが くやしくて 言葉にできない

la la la ……  言葉にできない


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「あの夜」から
メンバーはそれぞれの場所へ戻り、
僕は新しいバンドを0から立ち上ました。
その際の苦労、そして並行して起きた自身の私的な出来事を
殊更にここに記しません。

言いたいことは
それらの辛かった日々・がむしゃらだった日々のおかげで
fridgeの事が、「あの夜」の出来事が、
遠い昔の思い出話のように、
いつの間にかクローゼットの奥のほうにしまって、
在ることすら忘れてしまったおもちゃのように、
自分の胸の中に消えていた時期がありました。

fridgeの影を引きずる事無く、
その影ばかりを追い求め、
「SAYTEN」にそれを押し付け求める事無く、
ノスタルジーに囚われて悲哀に沈む事無く、
新しいバンドを、SAYTENを
fridgeとは全く別のものとして生み出せたのは
まさに辛くてヘビーだった今年一年のさまざまな
出来事のおかげだったと
今、思えます。

他のメンバーはどうだったのかな・・・??

言えることは
みんなもそれぞれに、fridgeへの思いを
悩みながら傷つきながら、それでも消化して
それぞれのやり方で上手く折り合いをつけて
来たのだろうと思います。

だから、みんなが“今夜の奇跡”に
たどり着けたのだろうと思うんです・・・。

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もう・・・今は・・・

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話は現在・・・だにぃスタジオに戻して。

メンバー各自が持ってきた、各々が所属しているバンドの
ライブビデオを一通り観て、話が尽きたあと、
DANNYがふと、fridgeの曲をUnplugedなギターで弾き始めました。
まるさんが・・・す〜さんがそれに合わせて弾き始め、
そして僕が歌い始め・・・fridgeの
“今年最後の”ライブが始まって行きました。

時計は日付をとうに跨いでいました・・・。

「あの曲覚えてる?」「えぇ??できるかな?」
演奏は続きます。みんなニコニコしながら・・・
僕は歌詞をすっかり忘れてる曲も在りましたが、
「覚えてるもんやなぁ〜、身体が覚えてるわ」
「あちゃ〜そんな展開やったなぁ〜」
メンバーは、本当に楽しそうに・・・
「・・・改めて、この曲のアレンジはすごいよなぁ〜」とか
「エエ曲やなぁ〜」とか自画自賛したり・・・。

「ありがとう!ありがとう〜〜!」
夜中なので静かな声で・・・でも曲が終わるたびに
ライブをやっているような錯覚に陥って、
わけもなくお礼を言ったりなんかして・・・(笑)

「・・・では・・時間も時間なので・・・最後の曲になりました」
僕のMCの後で、メンバーが異口同音に
「風丘〜〜!」・・・そう、ラストライブのラストナンバー、
『風が吹き抜ける丘』を・・・ぼびぃも歌ってくれました・・・。

気がつけば一時間程の、メンバーだけの
音の静かなライブ・・・でもこれほど楽しいライブは・・・
fridge活動中でも、そうなかったかもしれません・・・。

「・・・来年はライブやな・・・!!」

帰り間際、誰かが言いました。
来年も各自のバンドのライブビデオを持ち寄って、
こんな風に会いたいですね・・・。
その中に、fridgeの2005年のライブビデオがあればいいな・・・。

希望膨らむ夢が、またひとつ増えました。

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あなたに会えて ほんとうによかった
嬉しくて 嬉しくて 言葉にできない

la la la ……  言葉にできない


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メンバーの帰宅を一人一人見送って・・・
そして僕は、DANNYに見送られて、帰路につきました。

胸に何かこみ上げてくるものがあって、
言葉にすれば安っぽくなるので、その“何か”は言えないのですが、
それを押さえながら、必死でチャリンコのペダルをこいで、
家路を急ぎました。

胸から溢れ出す前に、
冬の星空に見られて、「大の大人が・・・」と笑われないように、
必死で・・・夢中でペダルをこぎました・・・。

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あなたに会えて ・・・言葉にできない

今 あなたに会えて・・・・

             (言葉にできない / オフコース)


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