走ったら谷底へ〜走・ら・谷〜
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2004年09月01日(水) すべての線路は

札幌に通ず。かどうか確かめてみよう。

私は単純だから、嫌いなものを好きになり、好きなものをキライになる。

1.カボチャ娘、北へ。
 小山を過ぎると、下りの列車は上りになる。宇都宮までの30分、サラリーマンより高校生の方が多い電車で、私は今日が9月1日だと理解した。私の夏休みは昨日でやっと折り返し。友達の結婚式などで色々かさむ夏休みなので、1日だけ遠出をすると言ったのは予告したとおり。
今みたいに「宇都宮線」ではなくて「東北線」と呼んでいた頃からずっと使っているカボチャ列車は、どんなに走っても黒磯まで。多分初めての「東北本線」は、黒磯で降りてから40分もあとに発車するらしい。駅から出てみよう。
 1つしかない改札から反対側に行くために渡った連絡橋は少々坂になっていて、汗まみれになりかけたところで出口。今度は太陽の後押しを受ける。
 終点のための駅から歩いていくと、草いきれの水っぽい匂いに少し懐かしさを思い出した。ここもカボチャ列車の街なのだ。

2.那須の月から萩の月へ
 栃木県だと、佐野でも那須でも同じに感じてしまうのだけど、白川あたりまで来て「福島県」という文字を見ると、やはり旅をしている気がしてくる。黒磯から次の終点は、郡山。Suicaは圏外でも、FOMAは案外逞しい。
 郡山からは横に流れる磐梯方面と、福島、仙台方面へと続く東北本線に分かれます。福島の中心は郡山?さすが、伊達にマルイはない。
 そんな郡山駅周辺は、宇都宮駅周辺に似ている。片方が都市化でひらけて、もう片方は視界が開けている。でも宇都宮は都市化の方のロビンソン閉店。どうなるのかな。
 次に向かう福島は、同じ列車6両編成から前2両だけを走らせる、ワンマン列車。発車まで20分あるから1度降りたら座れなかった。
 しかし台風一過の暑さというものは、全国どこでも均一?画一?そんなものにしてしまう。郡山の空だって、ほんとは宇都宮とは違うはずなのに。
 一駅行ったところでぞろぞろ降りたので座れた。日和田に何があるのだろう。気になりながらも隣の夫婦(カップルかも)がそれぞれ別の本を読書しはじめて、これは旅行列車ではないのかもしれないと思った。しかも独立の本と2代目の本。
 福島まであと半分のところで、宇都宮まで乗っていたカボチャで正面にいた人が、まだいたことに気が付いた。

3.仙台行き・シティラビット
 シティラビットに乗り換えて、聴いていたCDを村治佳織に変えた。薄の間をすり抜けていく快速にも、村治はよく似合う。
 福島県から宮城県に入る頃、宮城県で震度3の地震があったことを知らされた。奇しくも今日は防災の日。新幹線でしか通り過ぎたことのない宮城県は、どんな街なのだろうか。
 しかし、埼玉県から東京にかけて走っている快速がただのラビットなのに、なぜ福島〜仙台の快速が「シティ」ラビットなのか。

 本日の目的地は、仙台で。なんなら、ダルビッシュに会いに行くもよし。

 村治を聴きながらうつらうつらしているうちに、外は宮城県。「南仙台」という文字を見つけてからも、仙台駅はまだ遠い。

「まもなく終点、仙台です。本日もご利用、ありがとう御座いました」

とりあえず「乗り換えの25分」とかを気にしないで降りられるのは心地がいい。仙台。これ以上行くと、ホントに移動だけで戻る羽目になってしまいます。札幌まで通じてるのかは、結局わからずじまい。

しかし、山の向こうにある街は、なんてナマイキなんだろう。

駅から降りてまずLoftが見えた。LoftにはWAVEじゃなくてHMVが入っている。ナマイキも甚だしい。ダルビッシュも買い物してるのだろうか。メガネッシュはLoftで眼鏡を作ったのか。そう言えば、至近距離にジュンク堂が2件も。仙台店と、仙台ロフト店。ナマイキだ。
そんなナマイキなジュンク堂書店仙台ロフト店へ。

「仙台の作家が、仙台の読者へ」

伊坂幸太郎「Sacrifice−サクリファイス−」を読み終わる。
伊坂読者ならわかるであろう、黒澤の話。京極夏彦みたいに知識や理屈が出てくるわけではないけれど、扱ってるものがものだから、ちょっと京極夏彦みたいだけど、やはり語り口調が伊坂なので、からくり+心情的にもスカッとする短編(中編なのかその辺りの区分けはわかりません。130枚)。

さて、サクリファイス。もしかしたらこれが今回の仙台で1番の収穫かもしれない。知らなかった分も足して。

 本、全部持ってるのに仙台行きにあたってほぼ忘れていた伊坂幸太郎。なんてこった。そんなときに入ってしまったジュンク堂。
「別冊 東北学」。東北芸術工科大学という山形の大学が編集している雑誌で、伊坂が書き下ろしているのですよ。勿論小説。それがサクリファイス。

牛タンも笹カマも白松がモナカも買ったけど、私への土産はこの「別冊 東北学」です。

しかしナマイキナマイキと思っていても、仙台って、凄くいい街。肌に合うぬるま湯。穏やかで、ほぼ揃う。ただやはり東京標準を目指したファッションを心がけているのに仙台で服を揃えた若い女の子、ってのは少々イタく見えてしまいますが。だけど本は、東京標準に合わせたのって、正直面白くないので、やはり仙台の方がいい。

そういえば、スクラッチも1,000円当てた。やはり。

※ちなみに、1〜3の2行目までは、車中で手書きで書いたものをベースにしています。旅行記風。私が一番、ナマイキだ。


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