スイス日記
もくじカコミライ


2004年10月20日(水) 競争のない国スイス

アメリカの大統領選のニュースをよく耳にする今日この頃、資本主義って一体なんなのか?と最近よく考える。

スイス人、はっきりいってみんな金持ちである。
日本人のようにみんな流行のきれいな服を着てということはないけれど、イタリアやフランスから帰ってくると、みんなの身なりがちゃんとしていて、目が恐くない、みんなおだやかな顔をしているので本当に安心する。

このみんな金持ちっていう状況をスイスは資本主義ではなくて、競争をできるだけなくすことでつくりだしていると思う。

物価は決して安くない(たぶん東京と同じぐらい。)、でも、給料は日本よりも絶対に高い。しかも、スイス人しかつけない職の待遇は恐ろしくいい。
私の職場にはアシスタントとか秘書さんのようなあまり責任がなくて、8時半から夕方4時半までできっかり終わる仕事があるが、これはスイス人しかつけない。で、私の給料は、高卒21歳のアシスタントよりも低い。しかも、彼等の方がとれる休暇が長く、3年勤めれば、1年のサバティカルをとることができて、しかも、終身雇用である。もちろん、年金制度なんかもしっかりしている。

外人にもオープンな仕事でいい待遇のものもあるが、ドイツ語とフランス語がnative並みというようなスイス人にしか無理!という条件が必ずついていたりする。

海外企業はすごい税金をかけてできるだけ排除する(マクドナルドが税金のおかげでぴっくりするほど高い。)。
日曜、深夜に開けているお店にすごい税金をかけて、日曜や深夜は全員が休めるようにしている。
お店は、ミグロとコープ以外なく、ほとんど独占状態。しかもどっちも店員さんがあほほどいる。ジュネーブの人の一体何%がミグロの社員だろう?って思うぐらい、人がいっぱいいる。
毎日道を掃いてるおじさんはれっきとした州の公務員である。

こうやって、税金をできるだけたくさんとって、できるだけたくさんの人を雇って、みんなに高い給料を払うということをここではやっている。
共産主義というのはこういうのを目指していたのではないか?と思われるようなシステムである。

スイスには7つの大学があるが、高校さえ卒業すれば全員が試験なしで大学に入れる。1年間の授業料は5万円ぐらい。高校までは木曜が休みで、水曜と土曜が午前中のみ。他の日は3時までしか授業がないらしい。大学は話を聞いている限り、日本の大学に限りなく近い。

競争無しの子供時代。その後、あまり責任のない、でもスイス人にしかつけない職につき、夫婦で働き(子供が小さい時はお母さんは一日3時間とかでも正社員として働くことが可能。)、たくさんの給料と年金をもらい、仕事はそこそこに山で楽しく過ごす。
これって、スイス人の平均的な姿だと思う。

飛び抜けた金持ちもあまりいない代わりに、みんなが豊かな生活をする。
ほんとにスイス人に生まれたかったー!!と何度思ったことか。

資本主義。機会は平等。結果はすこーしの人が勝ち、大部分の人が負ける。
おじいさんのおじいさんぐらいの時代に勝った人がルールを勝手に変えて、勝つ人はずーっと勝てるような世の中に変えていく。
日本は残念ながら、この方向で行くようだ。

でも、もっと残念なことに日本はスイスにはなれない。絶対に。
だって、スイスは国単位の勝ち組だから。(つづく。多分。)


もくじカコミライ
カルージュ |MAILBBS
ホームページランキングネット