プープーの罠
2007年04月23日(月)

アイズ

タカハシヒデオは電話をする時、何故か
立ちあがり、自分のPCに背を向ける。

すると、私の方を向いている案配。

私の目の前のパーテーションから、
飛び出して
ぴょこっ
と視界に入るもの
に、目を向ければ彼と視線がぶつかる
のが分かっていて私は
ぴょこっ
と飛び出たものはいちいち見ていた。

彼はよく電話しているし
よくうろうろしている。

とはいえ席にいないことの方が多くて
ぴょこっが彼
である確率は約2割。

けれどそれが彼であった時、
目の合う確率はほぼ必ず、なのだ。

ちらと目をやると、
彼は大抵顔も体もまっすぐこっちを見ている。
盗み見た
つもりがばっちり見つかって
しまうのでちょっとバツが悪い。

しかしてちょっと考えてみる。
私は電話をしながら
どこを見ているだろう。

まったく浮かばない。

話すことに気がいって
目は完全なふしあな化、
私も誰かを誰ともなしに見ている
のかも知れないがそれは記憶の隅にすらない。

はたまた彼は近眼で
私の目線など見えていないかも知れない。

今一番知りたいことは
彼の視力は良いのか悪いのか
である。

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「プープーの罠」 written by 浅田

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