プープーの罠
2006年05月14日(日)

朝靄の

明日から仕事が始まる。
長い休みの最後の日曜日のこと。

彼:君の仕事が始まったら一緒に通勤ができるね。
  そしたら平日でも泊まりに来ていい?

私:ん?だめでしょう
彼:どうして?
私:私、時間通りに出勤するもの。
彼:だから?
私:君は昼からでしょ?
彼:俺が時間通りに行くのはだめなの?
  むしろ、いいことじゃないの?

私:私の家に泊まった翌日だけ定時に出勤するの?
彼:そうだね。
私:おかしいでしょ。
彼:何が?
私:たまにでも早く出勤できるなら、毎日早く行けるってことでしょ?
彼:何でそうなるの?
  それって一緒に住みたいってこと?


こっちこそ何でそうなるの?
と思うがそれはさておき。


つまりは早く行こうと思えば行けるのだ。

私の家から会社まで30分、
彼の実家から会社までは1時間半。
家が近くなって解決できる
なら実家を出てもっと近くに住めばいい。
通勤電車が日本一混む沿線だということに文句を言う
ならますます引っ越して沿線を変えるべきで、
電車そのものが嫌なら徒歩圏
とまではいかなくとも
自転車なりバイクなりで通勤できる
くらいまで近くに住めばいい。

でも派遣だったしずっと働くわけじゃなかったし
なんていいわけするにしてはもう3年目でしかも
契約社員 になるのだから
まだしばらくはやるのだろう。

それとも実家を出るのが嫌
なら家の近所で働けるところを探せばいい。

2時間かけて通勤している人でも定刻に出勤しているのだから
距離がいいわけにできないことは彼も分かっているのだろう。

直接本題で話せば彼は周到にいいわけをする
けれど日常会話でポロリと出て来る事実、
・目覚まし時計では起きられないから持っていない
・頼んでもないのに母親は毎日朝ご飯を作り
 その度にいちいち食べるのか聞きに来るから睡眠を妨害される
・母親が中途半端な起こし方のまま出かけるから
 気がつくと昼近くになっている。
・肉の食べ過ぎで健康診断で高血圧と言われた。


低血圧で起きられないわけではない。
満員電車に乗れないわけではない。
会社に悩みがあるわけでもない。
辞める予定もない。
定時に出勤する気もまるでない。

引っ越しという物理的なことだけで解決できる
なら早稲田君のパニック障害は質の悪いいいわけだ。
朝早く起きるのが嫌で混んでいるのが嫌なだけ。

誰が好きこのんで早起きして電車にすし詰めになっていると思う?
みんな嫌だけど嫌だからってやらないんじゃ社会に通用しない。

俺は通用してるじゃん。
してないでしょう。
終電で帰ったって残業1時間程度の労力なんだから、
繁忙期でも定時に上がってるのと大差ないじゃない。

だったらクビにすればいいじゃん。
働きアリみたいに自分を犠牲にしてまで働きたくないし。
別に頼んでるわけでもないのに契約社員にまでして、
それなら許している会社がバカなんじゃないの。

黙認しているのは会社の優しさじゃないの?
人事から何か言われても新星さんがフォローしてくれてるから
君が直接怒られないだけなんじゃないの?
時間通りに出勤するなんて当たり前のことなのに
何でそれすらできない人にバカ呼ばわりされるの。
本当にクビになったらどうするの?
それでやっていけるの?
次のところでもそうやって遅刻するの?
通用すると思うの?

別に、一人ならどうにでもなるし。

一人なら、ね。

湖畔に張った氷の上に小さなリスでも乗り上げて、
スゥと静かに亀裂が広がっていくような感覚。

一人で生きたことないくせに。
一緒に生きていきたいって言ったくせに。

索引
「プープーの罠」 written by 浅田

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