プープーの罠
2003年07月03日(木)

Crystal

雨がひどい。

私は便器のふたに腰掛けて、膝に肘を立て、
開いたドアから床をじっと見る。
うすく明らんだ空と同じ色をしている。
粗悪なアルコールが今頃体内でハイテンション、
視界がゆらりと揺れる。
吐きそうで吐けない。

黄色い薔薇が水を弾いている。
多面体のクリスタル。
優しい無色の塊。

弱虫。

やはり私の好きな色で
やはり私の好きなもので。
モノで釣れない相手だと
多分君は一生気付かないね。
私は外側なんていらない。
それだけのことなのに。
一生気付かない。

酔ったふりして机に突っ伏して
あるいは泣いていたのかもね。
まるで幼い子供のよう。実に未熟な。
私はそれを無視して
原材料の判らないアルコールを端から飲んだ。

ミネラルウォーターは全部
薔薇にやってしまった。
喉が焼け付く。
窓が黄色に染まっていく。

吐き出せばせいせいする。
ひどく後味が悪いけど。
分かっているのに
何故かそれができない。


頭を下げて、さようなら。

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「プープーの罠」 written by 浅田

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