●●●
隣の何とか(笛/三上と渋沢)。
2008年06月22日(日)
雨の日晴れの日、こんな日も。
はらりとはかなく落ちる、黒い糸。
何気なく床に落ちた己の髪の毛を、三上亮はじっと見つめた。寮のフローリングの床は素っ気ないキャラメル色で、その上に混じりけのない黒の糸が落ちている。
「…………………」
篠つく雨が降る休日の午後。かねてより、若干の不安を感じていた事柄を三上はその黒髪で思い出した。
「どうした、髪でも抜けたか」
揶揄するような声は、同室者の渋沢のものだった。二段ベッドの下段で寝転びながら本を読んでいる長身の彼は、笑って三上を見ている。
「別に、ちょっと抜け毛が落ちたのを見てただけだって」
「季節の変わり目は抜け毛の季節だな」
「……そうだな」
この話はこれで終わり。そのつもりで三上が再度机の上のノートパソコンに向かおうとしたとき、同室者が小さく声を上げて笑った。
「ま、薄毛は遺伝子の問題が大きく関係するみたいだし、しょうがないよな」
「薄毛って言うな!」
思わず本気で怒鳴り返すと、渋沢がぎょっとしたように目を見開いた。
まずい。三上がそう思ったときはもう遅く、渋沢はまじまじと三上を見つめ返してくる。
「……気にしてたのか」
「気にしてねぇよ!」
その気遣わしげな顔やめろマジで。
やや襟足にかかる黒髪の存在を重く感じながら、三上は渋沢からふいと視線を逸らす。わざと右手で髪をぐしゃぐしゃにかき回せば、指に抜け毛の感触がついてぞっとする。
ふさふさ茶髪の渋沢にこんな気持ちはわかるまい。
「うーん、まあ、こればっかりはなぁ。あ、海草食べるといいらしいな!」
「…あぁ、そーかよ」
「どれ、ちょっと前と違うか見せてみろ」
真面目な顔をして近づいてきたサッカー部キャプテンに、今度は三上がぎょっとした。
椅子の前に立つ、三上より十センチは背の高い同級生に思いっきり首を振って拒絶を示す。
「いい、見んな!」
「まあそう言うな、髪の量が少ないのはお前の評価に何ら関係しないだろ?」
「少なくねぇし俺のプライドには関わるに決まってんだろボゲ!!」
「まあまあまあ」
にこにこする渋沢は、自分の特定の部位の量に絶対の自信がある派だった。
がっとその大きな手で三上の手を押さえつけ、渋沢は斜め上の角度でいきなりにやりと笑った。
「…ほう、確かに手と頭皮までの厚みが」
「やかましい!!」
お前は鬼か。
三上が渋沢の無防備な腹に蹴りを加える寸前に、渋沢は相手から離れた。計算したバックステップで壁際に行くと、人畜無害を装った笑みを浮かべる。
雨の日の湿気を含んだ渋沢の天然色の茶髪は、三上の目には小憎たらしいほどふわふわして見える。当人は量が多く髪質も固いその毛を持て余しているらしいが、三上からすれば嫉妬寸前の何とかだ。
「…ま、気にする必要ないさ、三上。誰もお前の毛の量なんて気にしない」
「お前いっぺん死ね!!」
正論ほど当事者の胸をえぐるものはない。
三上の手近にあったコードレスマウスが、見事渋沢の額にぶち当たった。
*****************
つまんない書き方ですね(自分突っ込み)。
ネタはともかく、細部をもうちょっと書き込んで構成をうまく整えれば、もうちょっとおもしろい小ネタになるんだろうなー…と思いつつ、二十分でがーと書いたらこうなりました。
顔マンガならぬ顔小説みたいな。
リハビリ期間ということでご容赦いただければ、と思います。
先日、元企業チーム所属だったラガーマンと色々話をしたのですが、「中高からスポーツ漬けで、寮暮らしが長い男子っているのは、アイロン掛けとか得意なんですよ」という話を聞き、いいじゃん三上と渋沢とアイロン! と思いました。
その人の学校では、むしろスポーツ生ほどシャツや制服がびしっとしてないとダメだったらしい。入寮すると先輩からまず教えられるとか。
ネタ的に大変おいしかったです。
ところで、某あ●乃さんの日記で月9のk村さんを渋沢に、というくだりで「じゃあA部は三上だ!」と思った瞬間、いきなり楽しくなりました(でも実は最近見逃してます)。
ラストフレンズはそういう妄想が出来ない系だったので…。
そういえば個人的な感想でラストフレンズ、終わり方が色々消化不良でえーな感じでした。
一つ言えるのは、宗佑はアレさえなければ本当に理想的な旦那になっただろうになー…ということでしょうか。
みちるがいつまでも宗佑を吹っ切れなかったのは出会った頃とかの優しさとか幸福とかが大きすぎたんだろうなー、というのはわかった。それじゃ成長しないのでしょうけど、しょうがないじゃん人間って弱いだもん、と思う。
一部がものすごくダメな人な宗佑だけど、良いとことかちゃんとしてるとこもあったのになー、と思いますが、その一部がダメすぎるからダメな人なんだよ!とすごい勢いで友人に否定されました。
それにしたってジャニ系は身長はともかく、全身の体型というかバランスがすごい整ってて後ろ姿とかだけ見るとやけにまぶしい。
|
|