振り返る4
2019年3月、妹は逝った。
あっという間に30分が経ち、会館の人がバタバタ片付けだした。
祭壇の花を顔の周りに飾り、蓋が閉められ、父が号泣しすがりついた。
霊柩車に乗せられ、妹は斎場に行ってしまった。
私たちは車を見送っただけだ。
父は車に乗ろうとした、走り出した車を追った。
息子と一緒に父を引き止め、車道に飛び出さないようにした。
お骨上げもなし、つまり妹の遺骨も遺灰も実家にない。
実家に戻る途中、私が履いていたパンプスが崩壊した。
ヒール部分が取れ、靴底全てはがれた。
10年近く履かなかったパンプスは、こんなふうになるのかと
驚いたことを覚えている。
実家に戻り、喪服を着替えてすぐに、妹の部屋に行った。
父が全て処分すると、大量のゴミ袋を出して
目についたもの全て突っ込み出した。
昔から捨て魔だったが、早すぎないか。
何かしていなければ動いていなければ
おかしくなりそうなのはみんな同じだった。
私と母は、保険証を探した。
2021年06月05日(土)
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