街灯03
彼と探偵ナイトスクープを観た。
画面に出ている「大阪人」の反応は、彼には驚きのようだ。
私にとっては当たり前の受け答えや、探偵=芸能人に会ったときの
平然とした態度。
何年も大阪を離れていて、私自身忘れてしまっている受け答え。
大阪以外では通用しないと痛感している。
彼と話していても、意味が通じない言葉の感覚はもう慣れた。
彼は
(大阪に帰ったら)、治るんじゃない?
とほのめかした。
聞き間違いかもしれないけれど。
だけど、私は自分のことを「うち」とも「あたし」とも言わないし
帰阪したときに乗った電車で、通路をふさぎ声高に話すオバチャンたちが
イヤだった。
きっと大阪に帰っても、それはまたそれで疎外感を感じ
居場所が見つからず、話す相手もおらず引きこもってしまうんだろう。
お医者さんが「しばらく引き篭もったほうがいいですよ」と言った。
原因は初診のときに話したものとは別にあるんじゃないかとも言われた。
彼は休日には出かけたい人だ。
だから、なかなか言い出せなかった。
言うと不機嫌になる。
言ってみた。やはり不機嫌になった。
言わなくてもいいことまで言ってしまった。
山と田んぼは見たくない。
だけど、本当に息苦しくなる。
昔から、山は押し寄せてくるし、田んぼは日本全国どこにでもある。
お米やご飯は大好きなくせに、罰当たりな人間だと思うけれど。
これはきっと、小さいときに無理やり引越しさせられて
水洗トイレが汲み取り式になったり、
アスファルトの道路を10分歩けば到着した学校が
舗装されていないでこぼこ道を、カエルやカメの轢死体や
蛇の抜け殻を見ながら、30分も山道を歩かされたり
テレビでしか見たことがなかった田んぼには、気持ちの悪い生物がいて
ウシガエルがすごい声で鳴いていた体験からだと思う。
2007年10月19日(金)
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