帰阪
仕事初日、息子から電話があった。
叔父の訃報だった。

昨年のお正月、私は父に内緒で叔父の家に出かけた。
今年は、父や継母に嫌気が差し、二度と大阪には戻らないと
叔父の家にも寄らず、連絡もせず部屋に帰った。

この数年で、父と叔父の関係は悪化していた。
私が叔父の家に寄らなかったのは、叔父に愛想を尽かし、
いくら嫌っていても、私は父の側についたのだと従兄弟や叔母に
思い込ませてしまった。

親戚中が叔父の訃報を、私に知らせてくれなかった。
唯一、息子だけが連絡してくれた。

仕事から戻り、支度をして新幹線に飛び乗った。
到着したのは日付が変わる少し前だった。

徹夜で従兄弟たちと話し合った。
誤解をとき、私は詫びた。

親戚中が私が来る訳がないと言い切ったそうだ。
父がまた嘘八百を並べたせいだろう。

焼香順を決める場で、叔母が言った。
 
 一番に、ようにしてもらう。

葬儀の始まる寸前まで親戚は集まらず、私が最初に席を立ったとき
一同呆然としたことだろう。

父がどうであれ、私は父とは別ものだ。
叔父に対する感謝の気持ちを忘れるはずがない。
不義理を通した私が悪い。

満中陰にはぜひ出席してほしいと叔母に頼まれた。
来月、また大阪に帰ろう。



2006年06月22日(木)

初日 最新

Copyright(C)2004- you All Right Reserved.