本当に
デスクの脇に、アルバムがあった。
開いてみると、飲み会やテニス、スキーに行って
たくさんの仲間とわいわい楽しそうにしている写真。
どのページを開いても、どのアルバムを開いても
にぎやかな写真ばかりだった。
最初は、誰だかわからなかった。
なんとなく似ているから兄弟かと思った。
写真の色褪せと、見覚えのある笑顔で気づいた。
こんなふうに仲間と楽しそうに過ごした時代があったんだ。
今、仕事漬けで友人がいないと言っているのと正反対。
どうしてこんなふうになってしまったんだろうね。
切なくなったよ。
自分の非道振りを棚に上げて、言えないよね。
一眼レフの操作を教えてくれた。
時間がないのに、仕事の手を止めて
プリントアウトの仕方まで教えてくれた。
どうして、相変わらず優しいの?
ケータイで撮った画像を見せると
よく撮れてると、褒めてくれたね。
滅多に褒めない人なのに。
どこへ行くの?
遠方へ。
それしか言わなかった。
私もそれ以上聞けなかった。
屈託のない笑顔を振りまいて、たくさんの仲間や
女の子と楽しそうに過ごした人は、
どこに行ってしまったんだろう。
時間ギリギリに仕上げて、飛び出して行った。
私が頼まれごとをして、出かけた先で
少し寄り道しても、怒らなかったね。
時間がないから、早く帰ってこいと言わなかったね。
前はよく聞いた。
どうしてそんなに優しいの?
優しくない、普通だよ。
私が聞かなくなると、俺って優しいだろうと
言うようになった。
そして、今は全くそんな会話しないね。
頑固で、私を子供扱いするのは前と同じだけれど
私を一度も責めないね。
本当に本当にごめんなさい。
2005年04月12日(火)
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